2008年5月30日金曜日
ロシアと天燃ガス4:欧州パイプライン
ロシアと天燃ガス4:欧州パイプライン
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ご存知のように1986年にロシアで「チェルノブイリ原発事故」がありました。
「チェルノブイリの子どもたち」を書いて「広瀬隆現象」なるブームが発生したことはご記憶のことと思います。
このブームで「原子力発電アレルギー」が一気に噴出しましたが、その後、「温暖化問題」が優先され、「原子力発電見直し」といった世論に傾いてきました。
しかし、この現象が「原子力発電の安全性向上の推進」に大きく寄与したことはまぎれもない事実です。
ヨーロッパにおけるこの状況をみてみます。
2002年当時のドイツの「シュレーダー政権」は、電力業界が原子力から撤退することを認めさせ、1960~70年代に運転を開始した原子炉を廃棄することを決定しました。
これは、原子力発電所の平均運転期間を「32年間」とし、その後は廃止するというものです。
ドイツばかりでなく、ベルギーやスウェーデン、スイス、オランダ、ブルガリア、リトアニア、イギリスなど欧州諸国も「脱原発」を志向しましたが、それは欧州の各国が地続きのため、もし原発事故が起こった場合、放射能汚染から逃げられないという危機感からで、とくに環境立国ドイツは原子力に敏感でした。
2004年のドイツの「電源構成比率」をみると石炭が半分の50%、原子力39%、天然ガスが11%で、エネルギー自給率は約4割ほどで、原子力の欠損分を天然ガスで穴埋めすることになります。
Wikipediaを見てみる。
『
エネルギー
──────────
2002年現在、ドイツは世界で5番目に高いエネルギー消費国である。
その3分の2は輸入に頼っている。
また、ドイツはヨーロッパ一の電力消費国で、一時間につき5129億キロワットを消費している。
現在、ドイツのエネルギー保護政策を積極的に行っており、太陽光、風力、水力、地熱、バイオマス(バイオ燃料)などの再生可能エネルギーの普及を推し進めている。
その結果エネルギー効率は1970年以降徐々に良くなっている。
政府は2050年までに国のエネルギー需要の半分を自国で供給するという目標を定めている。
2000年、政府は原子力発電を2021年までに段階的に撤廃していくことを決定した。
2002年現在、エネルギー消費の種類別の内訳は石油(40%)、石炭(23%)、天然ガス(22%)、原子力(11%)、水力(2%)、その他(2%)となっている。
』
サイトから抜粋で。
『
★ 【ドイツのエネルギー事情】
http://www.biomass-hq.jp/foreign/germany/overview2.htm
再生可能なエネルギー利用の重要性は広く認識されており、その利用は年々増加していますが、実際のところ一次エネルギー総消費量にしめる割合はごく僅かでしかありません。
2003年の時点で3%弱でした。
現在のところ、一次エネルギーの大半は従来どおり化石燃料と核燃料によって供給されています。
電力消費に絞って見ると、やはり従来のエネルギーが占める割合が多く、中でも化石燃料の割合は、消費電力の半分以上(2001年度は60%)を占めます。
原子力発電の割合もまだ30%の割合を占めており、再生可能なエネルギー(ソーラー、風力、バイオマス、地熱、水力)の割合は7.87%に留まっています。
再生可能なエネルギーの潜在可能性と利用状況
──────────────────────────────
再生可能なエネルギーの潜在可能性を見ると、その多さに驚かされます。
現時点の技術力で、利用可能な資源を全て発電に使ったと考えると、現在のエネルギー需要(約570TWh)は全て再生可能なエネルギーでまかなう事ができる試算になります。
潜在可能性の高さに比べ、現在使われている再生可能なエネルギーの割合は、決して多いとはいえません。
水力発電だけは、技術的に利用できる可能性をほとんど実現していますが、他の再生可能な資源についてはまだまだ潜在可能性以下です。
バイオマスに到っては、潜在可能性の2%しか利用されていません。
2010年の目標は消費電力に占める再生可能なエネルギーによる電力の割合を現在の6,25%から12,5%(現在の倍)にまで引き上げることですが、まだ使われていない潜在可能性を今後伸ばしていけば、充分に可能だと考えられています。
』
同じくサイトから抜粋で。
『
★ 環境にやさしい暮らし
http://www.mars.dti.ne.jp/~saitota/hitori040221.htm
自然エネルギーを活用すれば化石エネルギーを使わなくとも済むのだ!
ドイツは風力発電など自然エネルギーが主流となりつつあるなんてことを読み聞くことが多いのではありませんか?
ドイツのエネルギー割合は実際はどうなのだろうか?
明日にでも風力と太陽光で間に合うのだろうか?
実はそんなことではない。
石炭が50%強、原子力が30%強、残りが天然ガスや石油であり水力がわずか、風力?さあ?
そういえば「エコロジーだけが経済を救う」というドイツの環境原理主義者が書いた本がありますが、その中で「各家庭に太陽光発電パネルを付けると政府補助によって短期間で元が取れる」というくだりがあります。
なるほど、政府補助がなければ減価償却は不可能なようです。
ちなみにドイツはフランスの原子力発電の電気を大量に購入しています。
自国では「原発廃止」なんて言いいながらそのようなことをするのは「バーゼル条約」違反じゃないかな。
』
原発エネルギーをロシアからの天然ガスに置き換える、これが基本施策です。
2050年までにその50%を再生エネルギーに置き換えることは目標であっても、おそらくは安価な天然ガスに勝てる見込みはないでしょう。
20%からうまくいってもい25%くらいでしょう。
あとは、化石燃料となりそうです。
イギリスは豊富な石炭や北海油田からの石油・天然ガスでエネルギー自給率は100%を超えていましたが、2000年以降急激に落ち込んで、2010年にはエネルギー輸入国になるであろうと見込まれています。
電源構成比は天然ガス・石油が33%、石炭38%、原子力26%で、バランスのいい配分になっています。
読売新聞(2006年05月31日)から
『
★ ガスに次ぎ原油まで 純輸入国転落強まる
http://www.gns.ne.jp/eng/g-ken/doukan/agr_310.htm
イギリスとノルウェーにまたがる北海油田は、1970年代のオイルショックを機に、開発が進められた。
1980年代中ごろには、生産量はノルウェー分も含め日量300万バレルを超え、非OPEC(石油輸出国機構)原油の中心として、OPECから原油価格決定権を取り戻す役目も果たした。
最盛期の1999年には日量590万バレルを生産した。
しかし、2000年以降、急速に生産量が落ち込んでいる。
ヨーロッパでも数少ないエネルギー輸出国だったイギリスは、2004年から天然ガスの純輸入国に転じた。
原油も、今年にも純輸入国に転じる可能性が強まっている。この結果イギリスのBBCなどでは、エネルギー自給率は2020年には10%にまで低下すると予想している。
すでに、ロイヤル・ダッチ・シェルやBPなど、北海油田に採掘権益を持っていたメジャー(国際石油資本)各社は、権益を他の石油企業に売り渡しており、撤退に踏み切っている。
』
イタリアはチェルノブイリ事故の翌年行われた国民投票で、運転中の3基の原子力発電所が閉鎖され、新たな建設工事も中止されました。
そのため電力をフランスやスイスから買い入れることになりました。
ところが、2003年にはこの送電線が切断するという事故が発生し、大停電がおこりました。
将来のことをほとんど何も考えることのないイタリア人らしい性急な行動の結果ですが、いまイタリアは四苦八苦のエネルギー事情になっています。
電源構成比は天然ガス40%、石油20%、石炭20%で、自給率は約2割ほどです。
原子力の減分を天然ガスに振り分けています。
フランスは日本と同じでエネルギー資源の乏しい国でありながら、国内でウランの採掘ができたため、いち早く「原子力利用」に取り組み、2004年では電源の85%が原子力で作られており、周辺国に輸出までしています。
ドイツやイギリスは石炭資源をもっていたため火力発電となり、フランスは石炭はなかったが、かわりに少々ながらウランをもっていたため、原子力利用に積極的となり、エネルギー自給率はドイツよりも大きく50%となっています。
昭和35年版の原子力白書によればフランスは世界第4位のウラン資源国になっています。
『
★ 昭和35年版原子力白書 4-1世界のウラン埋蔵量
http://www.aec.go.jp/jicst/NC/about/hakusho/wp1960/ss1010401.htm
』
現在世界でナンバーワンの生産量(埋蔵量は3位)を誇るのはカナダですが、フランスのウランの大半はそこから供給されています。
これがフランスをしてヨーロッパの「原子力撤退に反旗」をひるがえさせています。
さらに、2020年までに高速炉(第4世代炉)の運転を開始するとしており、「原子力国家」ともいっていいでしょう(高速増殖炉ではない)。
AFP・BBnews( 2007年07月25日)から
『
★ パリ電力需要に匹敵するウラン産出鉱山 カナダ
http://www.afpbb.com/article/economy/2259223/1886340
2006年、世界で産出された「3万9429トン」のウランの4分の1が、3つの鉱山、マクリーン・レイク、ラビット・レイク、マッカーサー・リバーで産出された。
3つの鉱山を所有するのは、フランスの「アレヴァ(Areva)」と、世界最大のウラン製造企業であるカナダの「カメコ(Cameco)」だ。
3つの鉱山を擁する盆地のウラン埋蔵量は「60万トン」、全世界の「18%」をしめる。
ウラン鉱石は、鉱山付近の処理場でイエローケーキに精製され、海外に輸出される。
マッカーサー・リバー鉱山は世界最大の「高純度ウラン鉱」とされ、前年は「7200トン」のウラニウムを産出。
これはこの年の全世界の産出量の18.3%にあたった。
マッカーサー・リバーで産出されるウラニウムは全米の電力需要の7%をまかなうエネルギー量に匹敵し、鉱山はカメコが70%を、残り30%をアレヴァが保有している。
』
EU本体は2006年1月にロシア政府天然ガス独占企業「ガスプロム」が、ウクライナ経由の天然ガス供給を一時停止したという事態をうけ、天然ガスの安定確保のために、カスピ海沿岸諸国から「ロシアを経由せず」に、トルコブルガリア、ルーマニア、ハンガリーを経由してオーストリアのウイーンに至る全長「3,300km」のパイプライン「ナブッコ・パイプライン計画」を建設することとし、2011年の完成を目指しています。
EU15カ国全体での電源構成比は原子力が約4割の39%、石炭が約3割の29%、天然ガスが18%、石油が5%となっています。
そんな状況が、現在のヨーロッパの各国です。
ガスプロムはエクソンモービルに匹敵するロシアンメジャーを目指していますが、そのためには外国市場におけるシェアの拡大がひじょうに重要となる。
国内市場は独占しているとはいうものの、当然のことながら公共事業体でもあるわけで、政府によってガス料金は低く設定されており、収益を上げることができない。
ガスプロムは数年先のガス供給を安定的に保障することで、欧州でのガス分配網へ進出し、ガスの販路を安定させようとしています。
そこで、計画されたのが「北ヨーロッパ天然ガスパイプライン」計画。
ヨーロッパのこれからのエネルギー市場を大きく塗り替える可能性のあるこの天然ガスパイプライン計画は、ガスプロムとドイツ「BASF」グループが進めている巨大プロジェクト。
年率3.3%で成長し続けるヨーロッパ市場は、ガスプロムにとって喉から手が出るほどに欲しい市場。
これが完成した暁にはガスプロムの欧州進出が一気に加速されると思われる。
バルト海経由で西欧に西シベリアの天然ガスを送るパイプラインの具体的なルートは、フィンランド国境近くからバルト海底を通り、ドイツ、オランダ経由でイギリスに至るもの。
その海底部分の総工費は「約20億ドル」。
ロシアにとって最大の弱点となっていた従来のルートであるウクライナ、ベラルーシへの通過がこれで回避されます。
いかにこの両国がロシアにクレームをつけても、この計画は確実に実行されるでしょう。
ドイツには原子力発電の段階的廃止を決定したため、新たなエネルギーとしてこのクリーンエネルギーである天然ガスの確保をいかにしても達成したいという意図がある。
オランダも天然ガスパイプラインにつなぐ国内ガスネットワークの整備に積極的な国です。
そしてその先にイギリスがある。
アメリカと常に行動を一にしているイギリスにエネルギーを送りこめれば、ロシアにとってはアメリカに対する高得点となりえます。
成長を続けるイギリスこそガスブロムの最大のターゲット。
この背景は次のウエブで確認できます。
なを下記のウエブでは「北ヨーロッパ天然ガスパイプライン」図も参照できます。
『
★ 石油・天然ガスレビュー 2003/09
http://oilgas-info.jogmec.go.jp/pdf/0/540/200309_097t.pdf
北ヨーロッパ長距離国際海底天然ガスパイプライン計画に合意
───────────────────────────────
英国とロシアは「北ヨーロッパ天然ガスパイプライン(NEGP)」の建設に関する協力について合意した。
ロシアのユスホフ・エネルギー相と英国のテイムス・エネルギー相がロンドンで英露首脳会談に際して合意文書に調印した。
今後、天然ガス生産量の減少が予想される英国がロシアの天然ガスのパイプライン供給を受けることが大きな目的であり、欧州への輸出拡大を目指すロシアも積極的である。
ラインは一系統。
「ウィボルグ(ロジア)~バルト海海底~グリスヴァルド(ドイツ)~オランダ~北海海底~英国」、総延長「1200km」。
フィンランド、スエーデン、デンマークの支線も計画されている。
パイプラインの主要ソースと見られているのはロシアのYamal半島のガス田で、将来的にはバレンツ海沖合いのShtokmanvskoyeガス田も検討されている。
今後予想される英領北海での天然ガスの減産に伴い、英国は2005年に天然ガス輸入国になる見込みである。
』
『
★ ロシア・ノーボチス通信社発 2005/09/29 No.084
http://www.rotobo.or.jp/jouhoukan/novosti/2005No.084.pdf
世界の興味を引くバルトガスパイプライン
──────────────────────
「プーチン・シュレーダー条約」とウワサされる「北ヨーロッパ天然ガスパイプライン(NEG、あるいはNEGP)」の建設協定が、最近ロシアとドイツで調印された。
従来の「トランジット諸国(既存のパイプラインが通過している国々)」である国々の不満は理解できないでもないが、本プロジェクトは政治的意味合いよりも、経済的なそれの方がはるかに大きい。
ガスプロムと「BASF」そして「E.ON」は、バルト海域を通っている「バルトパイプライン」の建設の基本協定に調印した。
本プロジェクトの関係社の資本割合はガスプロム:51%、BASF:24.5%、E.ON:24.5%で、これらの会社はドイツ・ロシア合弁会社を設立する以降を表明している。
NEGプロジェクト全体を実現するのに必要な合計投資資金は「40億ユーロ」以上とされている。
NEGラインはドイツの海岸地帯と、ロシアのウィボルグ市地区の海岸を結ぶ。
ガスパイプラインの陸地への出口はグリスヴァルド市が検討されている。パイプラインの長さは「1200Km」を超える。
NEGの営業活動は2010年に予定されている。
そして初期段階のガス搬送能力は年間「275億m3」で、そのための「第1ライン」が計画されている。
さらにその後、年間最大2倍の「550億m3」に増設するために「第2ライン」の建設が検討されている。
プロジェクトの目的は、主要生産国であるロシアから、最大需要地である西ヨーロッパに供給するための「直接搬送回廊」を稼動させることにある。
供給はドイツだけでなく、他の諸国にも及ぶことになっている。
というのも、この地域におけるロシア以外の供給国(ノルウエイ、オランダ、イギリス)の採掘田が枯渇の一歩をたどっているからだ。
ロシアもドイツも、このプロジェクトの勝利者と言える。
現在、ドイツはガスプロムの最大級の輸出市場になっている。
NEGプロジェクトにより、増大するこの需要に安定供給が確保され、プロジェクトは確固たる立場を築き評判を高めるだろう。
NEGプロジェクトを通じてドイツはロシアの広大な天然ガス田と直結されることになる。
これはドイツやヨーロッパ諸国の増大する需要を満たすのに大きく寄与し、これらの国々へのガス供給の安定性を大いに高めるだろう。
ヨーロッパの公式筋や専門家、マスコミは向こう10年間、ヨーロッパへのエネルギー供給の安定性はロシアとの関係に依存すると指摘している。
さらにイギリスやオランダ、デンマークなど、いくつかの新しい国々がガスロムのパイプライン網に広範囲に接続することができ、ロシアにもヨーロッパのエネルギー市場参加への可能性が益々大きく開けてくる。
このプロジェクトは、「エネルギーの国際価格が高騰」している現在だからこそ可能になった。
現在の燃料価格の高騰は本格的なもので、長期にわたることは明らかだ。
世界の石油メジャーはロシアのガス採掘、インフラ整備の建設、ガス製油施設設備にも資金を直接投資する準備をしている。
』
ガス搬送能力は1ラインにつき「275億m3」という。
琵琶湖の水量が「275億m3」、気持ち悪いくらいにピッタリ同じ。
もちろん、これはガス体での話。
いくらパイプの口径を大きくしても、1年で琵琶湖のすべてを送水できるはずがない。
タンカーで運ぶときは液化して「LNG」として運ぶ。
しかし、パイプラインでは気体そのままで「天然ガス」としてパイプに送り込む。
液体ならパイプラインの勾配が最大の問題になり、貯水塔を造って水をくみ上げ、繰り返し繰り返し圧力のかけ直しをしてやらねばならない。
しかし、空気より軽い気体ならちょっと圧力さえかけてやれば、少々の凸凹はまったく苦にならずに遠くに運べる。
それがゆえにヨーロッパ全土の隅々への供給がいとも簡単に可能になる。
液体と気体とでは比較のしようがないので、一律に液体に直して「LNG換算」としてして検討してゆく。
液体にすると「1/600」である。つまり、琵琶湖の水量の1/600のLNGが年間搬送量になる。
よって、LNGでの搬送量は「4,583万m3」。
275億0000万m3/600=4,583万m3
ドーム単位を計算してみる。
4,583万m3/124万m3=37ドーム
年間東京ドーム37個分のLNGがこのパイプラインを通して西側に送られることになる。
これを2本造るという。74個分になります。
2本の合計は「550億m3」。
日本のLNGの年間輸入量が「765億m3」ですから、日本の輸入量の72%ほどの量が、2本のパイプラインでロシアから西ヨーロッパに送られることになる。
西欧・中欧の天然ガス需要の25%をロシア一国で供給している。
そのパイプラインの「約80%」がウクライナ、べラルーシの領土を通っている。そこがロシア最大の弱み。
そこでロシアとドイツは「北ヨーロッパガスパイプライン会社」を設立したということになる。
ウクライナを通らず、バルト海経由で西欧に直接天然ガスを供給するパイプライン会社というわけである。
ちなみに、原子力発電を廃棄したドイツのシュレーダー元首相はこの北ヨーロッパ天然ガスパイプライン計画を立ち上げ、政権を退いたあとはちゃっかりとこのパイプラインの会社の役員に納まっています。
つまり、欧州は天然ガスの供給を「ガスプロムに依存」しつつある状況が作られつつあるということです。
そして、ロシアはそのLNG東京ドーム74個分の元栓をしっかり握っていくということになり、ヨーロッパを支配下におくような「大国ロシアが復活」しつつあるということになります。
EUのもう1本のパイプライン「ナブッコ・パイプライン計画」も動いてはいるが、コストは最低でも「73億ドル」と見積もられるため、プロジェクトは建設や資金供給を巡る遅れに直面しています。
パリの国際エネルギー機関は、ヨーロッパの需要は現在の「5,000億m3(LNG:672ドーム)」であるが、今後20年間に「約7,000億m3」になるだろうと見積もっている。
また、完成時のナブッコの年間輸送量は「310億m3」と予想している。
ちなみに、世界メジャーを目指すガスプロムは、この非ロシアのナブッコ・パイプラインにロシアの天然ガスを送り込もうと計画しています。
なを、NHKのドキメンタリー番組があります。
『
★ NHK情報ネットワーク 番組 Topics2008 「BS世界のドキュメンタリー」 2008/05/05
http://www.nhk-jn.co.jp/002bangumi/topics/2008/005/005.htm
「BS世界のドキュメンタリー」
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【シリーズ① プーチンのロシア】 プーチンはこうして権力の座についた
(フランス Quark Productions制作)
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海外の優れたドキュメンタリー作品を通して「世界の今」をお伝えする番組です。
ニュースにはない鋭い切り口と丁寧な取材で、世界で起きているさまざまな出来事の背景に迫ります。
「プーチンを作り上げたのは私たちだ。ロシアの今の状況は私たちに責任がある。」
2000年のロシア大統領選挙でプーチン陣営の選対責任者を務めたポノマリョワの言葉でこの番組ははじまる 。
選挙の一年前には無名だったKGB出身の一役人が、いかにして瞬く間に、ロシア大統領の座にのぼりつめたのか、その経緯を描く。
事の発端は、クレムリンの改修工事に伴う大掛かりな収賄事件。
ロシア高官たちのマネーロンダリングが取り沙汰された。
検事総長のスクラートフが事件を厳しく追及していたが、当時FSB(連邦保安局・KGBの後継機関)長官だったプーチンは、スクラートフのスキャンダルを立証し、彼を失脚させることに成功した。
これ以降、エリツィンの側近グループ、いわゆる「ファミリー」はプーチンに一目置くことになった。
エリツィンは後継者を探しあぐねていたが、1999年8月、プーチンを首相に任命。
プーチンは、連続爆弾テロ事件が起きた時に、報復措置として、素早くチェチェンへの軍事攻撃を開始し、支持率は一気に上昇した。
エリツィンと近しい新興財閥のベレゾフスキーが、自らが所有するテレビ局の番組で、人気キャスターのドレンコを動員してキャンペーンを行ったことなども功を奏し、下院選挙ではプーチンの党が、ライバルのプリマコフ元首相の党を上回る票数を得た。
そして突然エリツィンが辞任。
大統領代行となったプーチンは、「ファミリー」に対する態度を一変、我が道を進み始めた。 その後大統領に就任し、今に至る。
2期8年を終えようとしている今、後継者を指名したプーチンは、このまま権力の座に居座り続ける様子だ。
【シリーズ② プーチンのロシア】 ガスプロムの世界戦略(前編)
(フランス CAPA制作)
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世界の天然ガスのおよそ3分の1を埋蔵するロシア。
その生産から供給までを一手に担う巨大エネルギー企業のガスプロム。
時価総額は2,500億ドルを超えると言われる。
資源外交でロシアの復権を図ろうとするプーチンにとって、最大の切り札ともいえるガスプロムの世界戦略に迫る前・後編。
■前編 台頭する巨大エネルギー企業
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ロシア政府が株式の過半数を保有し、プーチン大統領の側近が経営の中枢を占める天然ガス会社・ガスプロム。天然ガス生産量世界最大を誇るガスプロムは、ヨーロッパで使用されるガスの25%を供給している。
2005年、オレンジ革命以降、欧米よりの路線を取り始めたウクライナに対し、ガスプロムはガス料金の値上げを通告。
ウクライナがこれを拒否したため、 2006年1月1日、ガスプロムはウクライナへのガスの供給を停止し、ウクライナを経てガスの供給を受けているヨーロッパにも影響を与えた。
その豊富なエネルギー資源を武器に資源大国として復活を遂げたロシアだが、現在、主力のガス田は枯渇しつつあり、ヨーロッパ諸国は、ガスプロムの安定的な生産・供給能力に不安を感じている。
新しいガス田の発見・開発にもっと投資するべきだという声が高まる中、ロシア政府は、ロシア国内におけるガス料金の値上げを決定した。
果たして、ガスプロムは、増え続けるヨーロッパのエネルギー需要を満たすことができるのか。
今まで取材が難しいとされてきたガスプロムの全貌と、その世界戦略に迫る。
【シリーズ② プーチンのロシア】 ガスプロムの世界戦略(後編)
(フランス CAPA制作)
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■後編 ロシア資源外交のシナリオ
───────────────────
ウクライナへのガスの供給停止などをきっかけに、ヨーロッパはガスプロムに依存しないエネルギー供給ルートを確保しようとしている。
そのひとつが、 SCP、南コーカサス・天然ガスパイプライン。
グルジア経由で、アゼルバイジャンのガス田とトルコを結ぶ。
しかし、こうした動きにパイプライン通過国とロシアとの間では緊張が高まっている。
また、ヨーロッパ各国それぞれの思惑もあり、EUも一枚岩とはいかない。
そんな中、ロシアは東へと目を向け始めている。
極東サハリン沖での石油・天然ガス開発計画「サハリン2」の経営権を握ったのを始め、六か国の加盟国とモンゴル、イランなどの準加盟国からなる上海協力機構の枠組みで、エネルギー協力を強化しようとしている。
また、プーチン大統領は、ガスの輸出国からなるガス OPECの創設にも積極的だ。
昨年の12月に自らの後継者として側近のメドベージェフ第一副首相を選んだプーチン。
天然ガスを武器に、国際的な影響力を保とうとする、その巧みな外交戦術を描く。
』
これで「ロシアの天然ガスとプーチンの個人資産」についての関係はおぼろげながら理解できたかと思います。
なを、天然ガスをめぐる各国の思惑は下記のウエブに詳しいです。
『
★ エネルギー覇権を強めるロシア 2007年5月22日 田中宇:記事の無料メール配信
http://www.tanakanews.com/070522russia.htm
』
今後のヨーロッパは一方でロシアの天然ガスエネルギーを中心に回っていく。
OECDの楽観的な西欧式「石油商品論」が、非西欧式OPECの「増産せず」の決定で崩壊する危険性がある今日、ロシアの動向は注目の的になる。
「増産せず」の決定により、投機資金は石油に回り、オイル価格は高騰を続ける。
決まった量しか生産しないとすれば、価格は上がる。
当たり前のことが当たり前に起こったのが、「ガソリンの高騰」。
オイルの上に乗っているアメリカ経済に与える打撃は大きい。
アメリカ経済は「湯水のように使える石油」を前提に成立している。
そのアメリカ経済の投機資金が石油に回って、石油の価格を押し上げている。
いわば自分で自分の首を締め上げている。
「大きいことはいいことだ」のアメリカ経済が失速する可能性がある。
このときにあっての「儲け頭」はいわずと知れた日本。
「軽薄短小」「省力節源」が国是。
一時のアップダウンはあっても長期的にみれば日本の勝ち。
下で見るように現在の日本の海外資産は「過去最高」を記録している。
未公開のオイルマネーを除けば、世界ナンバーワンである。
第二位のドイツの倍以上である。
日本は「不景気だ、不景気だ」といいながら、着実にお金を溜め込んでいる。
そして世界に分散して、バランスを計っている。
『
★ 読売新聞 YOMIURI ONLINE (2008年5月23日)
http://www.yomiuri.co.jp/atmoney/mnews/20080523mh03.htm
対外純資産 「過去最高250兆円」 金融ニュース
──────────────────────────
財務省は23日、2007年末の日本の対外資産と負債の状況をまとめた「対外貸借報告書」を発表した。
日本の政府、企業、個人が海外に持つ資産(対外資産)の金額から、外国の政府、企業、個人が日本に持つ資産(対外負債)の金額を差し引いた「対外純資産」の残高は、前年末比16.3%増の「250兆2210億円」と過去最となった。
2年連続の増加で、世界2位のドイツ(2007年末時点の円換算で107兆5715億円)を引き離し、統計を公表している国の中では1991年以来、17年連続で世界最大の債権国となったとみられる。
原油高で中東諸国も対外資産を増やしているとみられるが、統計は公表していない。
日本の対外資産は、前年末比9.4%増の「610兆4920億円」、対外負債は5.0%増の「360兆2710億円」と、いずれも過去最高だが、対外資産の伸びが対外負債を上回った。
日本の低金利を背景に、金利の高い外国の債券や株式などへの投資が拡大した。
』
21世紀は次のエネルギー技術で動いていく。
1】.ウランの確保:高度安全基準の原子力発電所の建設
2】.天然ガスの開発:天然ガス利用技術の向上
3】.石炭新技術の開発:眠れるエネルギーの再生技術
「石油は22世紀のエネルギーとして、しめやかに保存されていく」。
<おわり>
【Top Page】
【追記】
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2008年5月23日金曜日
ロシアと天燃ガス3:最大輸出国ロシア
ロシアと天燃ガス3:最大輸出国ロシア
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
では、いよいよプーチンに巨額の富をもたらした、「ロシアの天然ガス」を見てみます。
世界の埋蔵量を「BP統計資料2004」で見てみます。
★ 社団法人日本ガス協会
☆ http://www.gas.or.jp/default.html
『
中東_______________71.7__
ロシア______________47.0__
アフリカ_____________13.8__
アジア・オセアニア______13.4__
西欧・東欧・中央アジア___15.3__
北アメリカ____________7.3__
南アメリカ____________7.2__
日本_______________0.04__
その他
------------------------------------------------------------
___合計___________176 兆m3___
』
ロシアが世界の埋蔵量の「27%」を占めている。
いかにすごいかが、これだけでわかります。
次に地域別の年間生産量と消費量を促進センターの「天然ガスの生産量と消費量」で見てみます。
『
__地域別__________生産量(%)____消費量(%)____差分
--------------------------------------------------------------
旧ソ連・東欧_______8,384 (30%)_____6,492 (24%)____+1,892
西欧____________2,912 (10.5%)____4,726 (17%)_____-1,814
中東____________2,912 (10.5%)____2,510 (9%)_____+402
アジア・オセアニア___3,314 (12%)______4,069 (15%)____-755
北米____________7,582 (27%)_____7,745 (28%)____-163
中南米__________1,360 (5%)______1,240 (4.5%)____+120
アフリカ__________1,409 (5%)_______712 (2.5%)____+695
--------------------------------------------------------------
合 計__________27,873億m3_____27,494億m3__
』
このうちロシアは「1,516億m3」を輸出している。
この量は日本の輸入分の「756億m3」のちょうど2倍に当たる。
このうちの90%にあたる分の「1,400億m3」がドイツとフランスの輸入量に相当する。
単純にいうと、ロシアの天然ガスの剰余分がそっくり西欧にパイプラインで供給されており、その売り上げ税収が国家に入ることになる。
その額、ロシアの「国家税収の約25%」。
目の前に、何の努力もなく山と積まれたオカネがあれば濡れ手でアワになる。
手を握らないやつはいない。
「ワイロ、みんなでやれば怖くない」
やるな、といっても無理な話になる。
世界ナンバーワンの天然ガス輸出国は当然ロシア:21%。
以下カナダ:14%、ノルウエイ:11%、アルジェリア:9%である。
ロシアはカナダの1.5倍になる。
オランダは2.4%輸入して、6.5%輸出しており、差し引き4.1%の輸出。
インドネシア:4.4%、マレーシア:4.0%、カタール:3.8%、となる。
注目すべきはノルウエイとオランダで、天然ガスを輸出していることである。
それぞれWikipediaでみてみる。
『
ノルウエイ
────────
OPEC(石油輸出国機構)加盟国ではないノルウェーはロシア、サウジアラビアに次ぐ世界第3の原油輸出国であり、原油はノルウェーの輸出の35% (1999年)を占める。
北海における石油採掘は国有割合の高い企業(例えばスタートオイル社では発行株式の8割以上を国が保有)によって行われており、福祉国家ノルウェーの財政に大きく寄与している。
さらに将来の石油・天然ガスの枯渇に備えて、原油売上による収益は原則として(2006年度予算では74%、 2571億クローネ)「政府年金基金」として積み立てられ(2006年1月に従来の石油基金と年金基金が統合改組された)、国際的な金融市場に投資されている。
国家財政収支は石油以外の歳入だけで均衡するよう、歳出抑制策を実施しているが、なお石油基金からの繰り入れが大きな割合を占めている(2006年度予算では歳入9339億クローネ、うち石油から3483億クローネ、石油以外から5856億クローネ、歳出は6768億クローネ)。
』
『
オランダ
────────
オランダの鉱業は天然ガス、石油、岩塩があるが、天然ガスを除きいずれも小規模である。
「天然ガス」は1940年代、北部フローニンゲン州で豊富な天然ガス田が発見されて以来、生産量の「50%」程度がドイツ、ベルギーなどへ輸出され、貴重な外貨収入となっている。
60年にフローニンゲン州のスロホテレン地区に発見された天然ガスの確認された埋蔵量は「1兆6000億立方メートル」で西ヨーロッパの総埋蔵量の「約半分」に当たる。
電力は石炭・ガスまたは石油による火力発電により、その年間消費量は77年に565キロワット時になっている。
精油所はロッテルダム地区に5つ、アムステルダムに1つあり、オランダは67年にはヨーロッパで最も重要な石油製品の輸出国になった。
』
これらの天然ガスの経路についてはヨーロッパ全土に張り巡らされたパイプラインを、下記のホームページで見ることができます。
★ [PDF].ヨーロッパ:エネルギー戦略の見直し
☆ http://www.ett.gr.jp/energy/pdf/2_40.pdf
これでみると、プーチン・ロシアは天然ガス供給のパイプラインで、「ヨーロッパの首根っこ」を抑えていることになる。
その実例が以下のニュース群。
★ CNN.co.jp 2008.03.05
☆ http://www.cnn.co.jp/business/CNN200803050041.html
『
ウクライナ、欧州向け天然ガス供給を削減とロシアに警告
────────────────────────────
ロシア国営の天然ガス独占企業ガスプロムは、ウクライナ国営のナフトガスが、
「欧州向けの天然ガス供給を削減する」
との警告を4日に電報で送ってきた、と明らかにした。
ガスプロムは、ウクライナがガス代金を支払わないことから、3日から4日にかけてウクライナ向けのガス供給を総量で「50%削減」したばかり。
欧州向けの供給削減警告を受け、ウクライナが欧州向けの供給を削減すると警告したと見られる。
ロシアからの欧州向けパイプラインは、ウクライナを経由している。
両国は「2006年」にもガス輸出代金で対立、ロシアは一時、供給を停止したことがある。
』
★ 東京新聞 2008.03.06
☆ http://www.tokyo-np.co.jp/article/world/news/CK2008030602093041.html
『
ウクライナ向け天然ガス ロシア、一時供給半減
────────────────────────
ロシアの政府系天然ガス独占企業「ガスプロム」は四日、ウクライナが債務支払いに応じないとして天然ガス供給を半減させることを決めた。
しかし同社は五日、ウクライナ側と供給正常化で合意したと述べた。
ガスプロムは「メドベージェフ次期大統領」が会長を兼任しており、次期政権でもエネルギー資源を武器にした周辺国への強硬姿勢を継続させる姿勢を見せつけた格好だ。
これより先、ウクライナ側は、ガスプロムが同国経由で欧州向けに供給している天然ガス供給を約17%削減すると警告。
2006年1月に続いてガス紛争が再燃することに欧州側の懸念も高まっていた。
ウクライナの親欧米姿勢に反発する「プーチン政権」は、2006年初めに同国へのガス供給を一時停止し、「厳寒の欧州への供給も停止」され、大混乱をもたらした。
さらに昨年10月には、対ロ批判の急先鋒(せんぽう)、ティモシェンコ氏の首相返り咲きの直前にも、ガス供給停止を警告するなど、天然ガスを政治的圧力に用いた露骨な揺さぶりをかけていた。
』
ここで話題になっているロシアとウクライナの関係をWokipediaで見てみましょう。
『
ロシアは、ソ連時代に東欧から西欧にかけて一大パイプライン輸送網を構築、大量に産出される天然ガスを各国に輸出している。
特に、ウクライナを含む独立国家共同体諸国に対しては、歴史的な経緯から欧州諸国に比して割安な価格で供給していた。
ただし、ウクライナ向けガス価格は、パイプライン輸送料とのバーター決済の価格指標として機能していたに過ぎず、この価格で販売されていたわけではない点に留意が必要である。
2004年にウクライナで、オレンジ革命が発生。
新政権が、親欧米の立場を鮮明にした。
2005年4月:ガスプロム社とウクライナ政府が、ガス供給に関する契約更改交渉を実施。
1,000立方メートルあたり現行「50.0ドル」から改訂後「160.0ドル」(後に交渉過程で「230.0ドル」に上昇)へ大幅な上昇を伴う料金改定が提示されたことから、交渉は紛糾状態となる。
2006年:ガスプロム社がウクライナ向けのガス供給を停止。
ただし、ウクライナ向けのガス供給は、対欧州連合諸国向けと同じパイプラインで行われていたため、EU諸国向けの供給量からウクライナ向けの供給量の「30%削減」する形で行われた。
ウクライナ側は、これを無視する形でガスの取得を続行。
そのため、たちまちパイプライン末端にある欧州連合諸国へ提供されるガス圧は低下し、各国は大混乱となった。
もはや二国間の問題ではおさまらず、国際問題となったことから、両者は急速に歩み寄りを見せ、1月4日に「95ドル」の価格設定で供給を再開する妥協をみた。
ウクライナ経由でガス供給を受けている中欧や西欧諸国は影響を被ったが、当のウクライナの市民生活には大きな影響は出なかった。
これは、公式にはウクライナが天然ガス地下貯蔵庫から天然ガスを汲み出したこと、産業に利用制限を課して市民向けに優先的に廻したためと説明されているが、欧州諸国向けのガスも抜き取ったためと言われている。
ウクライナへのガス供給が停止すると真っ先に深刻な「影響を被るのはEU諸国」であるということが判明したため、今後の各国は対応に迫られている。
ウクライナを迂回してヨーロッパに天然ガスを供給する「北ヨーロッパ天然ガスパイプライン」建設にも拍車がかかるものと見られる。
』
そのロシアの企業を見てみましょう。
下記のホームページから一部を抜粋コピーさせていただきます。
★ FX The Gate 欧州財閥の系譜 ロシア財閥 天然ガス
☆ http://fxthegate.com/2008/01/48_24.html
『
エネルギー企業が増収増益を続けていることから新富裕層が誕生しているロシア。
そのロシアが誇る2大巨大企業といえば、下記の2社である。
①.「ルクオイル」:石油企業
②.「ガスプロム」:天然ガスの生産・供給量において「世界最大」の企業
ガスプロムの取締役会議長(会長)は、大統領府長官を務め、2005年にロシア連邦政府第一副首相に任命された「ドミトリー・メドヴェージェフ」です。
ソビエト人民代議員機関勤務、大学の非常勤講師を経て、プーチンの顧問を務めるようになります。
有能な行政手腕が高く評価され、2008年実施予定のロシア大統領選挙でプーチンの後継者として指名されるのではないかといわれています。
ガスプロムの天然ガスの生産高(採掘量)は、ロシアの88%、全世界の約23%に相当。
埋蔵量は、世界の38%を占めると言われています。
ロシアの「国家税収の約25%」を占め、採掘、生産、から供給、販売までを独占しています。
この優良企業ガスプロムの時価総額は、昨年末から今年1月にかけて、BPやロイヤル・ダッチ・シェルを追い抜く勢いで膨張しました。
昨年8月、ガスプロムの時価総額は1000億ドル(約11兆円)を超えたばかりであったのに、5ヵ月後の1月には、なんと2倍以上の2168億ドル(約25兆円)に達しました。
その時点での時価総額は、以下の順位でした。
1位 エクソンモービル
2位 GE
3位 マイクロソフト
4位 シティグループ
5位 BP
6位 ガスプロム
ガスプロムの時価総額が急激に膨張した理由は、昨年12月23日、ガスプロム株式の外国人保有制限を撤廃する法律にプーチン大統領が署名し、「規制緩和」が進んだことにあります。
ガスプロムが「国営石油会社ロスネフチ」と共に今後もロシアのエネルギー戦略の中核であり続けることになることは明白です。
ガスプロム株の「規制緩和」に署名したプーチン大統領は、ガスプロムを世界最大のメジャー(国際石油資本)であるエクソンモービルに匹敵するエネルギー企業にしたいと意向しているのでしょう。
そして先月4月28日には遂に世界3位のマイクロソフトの時価総額を追い抜き、時価総額で世界第3位となりました。
同日、ガスプロムの時価総額は2700 億ドルになり、同日株価を下げたマイクロソフトの時価総額2460億ドルをガスプロムが抜き、ガスプロムは世界3位の企業となったのです。
同日時点での株式時価総額世界トップ4は以下です。
1位 エクソンモービル(3810億ドル)
2位 GE(3580億ドル)
3位 ガスプロム(2700億ドル)
4位 マイクロソフト(2460億ドル)
プーチンが目指しているのは、エクソンモービルに匹敵するロシアンメジャーの誕生です。
ロスネフチは今年の夏から秋頃に史上最大規模の株式公開を実施する予定です。
仮にですが、ロスネフチの株式公開後に、ガスプロムとロスネフチが合併したら、エクソンモービルを超える時価総額世界最大のエネルギー企業が生まれることになります。
』
「ガスブロム」という会社は日本ではまるで馴染みのない会社ですが、ヨーロッパでは最大級の会社の一つということであり、世界的なマイクロソフトをすでに抜いているということです。
プーチンの個人資産が、ビル・ゲイツを超えているというのも、そういう話を聞くとなんとなく納得してしまうような気になってしまうから不思議です。
【余談を少々】
没頭で石油は「約70年」分、天燃ガスは「約100年」分あるという石油鉱業連盟の発表を載せました。
その差は約30年あります。
よって、石油が使えなくなって、さらに一世代は天然ガスがエネルギー保障をしてくれると書きました。
しかし、果たしてそうなるでしょうか。
個人的な考えですが、「天然ガス枯渇」の方が先にくるように思えるのです。
というのは、先の「石油枯渇」の稿でみたようにオイルピークを過ぎると、生産国は石油の生産にブレーキをかけはじめます。
実際、オイル価格は昨日「$135」の「ストップ高」を記録しました。
OPECは増産の意志のないことを表明しています。
ということは、中東産油国の「2010年対策」が発動され、効果をあらわし始めているということになります。
「虎の子の財産」ですので、できるだけ長持ちさせようと、小出しにし始めています。
言い換えると、タンスの底にしまっておいた宝石を、一つ一つ出しては売り、出しては売って生活しようという方向にむかっています。
そこには「石油は目に見える貴重な財産」である、という意識があります。
それに対して天然ガスは気体であり流動性が高く「目に見える」ということがありません。
「掴めない」という分、見えない分、財産としての意識が希薄になるはずです。
とすれば偶然にも運よく地下から吹き出してくれた「お金になるクウキ」といった発想になります。
宝石のような財産ならタンスの底にしまいこんでおこうという感覚になりますが、クウキは在庫でもっていてもしかたがない、まして大気より軽いガスだ、ほっておいたら空の向こうへ消えてしまうことにもなりかねない、と思う気持ちが出てくる。
売れるときに売ってしまおう、お金に換えてしまおう、という判断になりやすくなります。
そして枯渇したとしても、「損した」という発想にはなりにくく、とりあえずお金にできて「うまく儲けた」ということになります。
ということから、「エネルギー価格高騰」によって天然ガス採掘が「コストにあう」となれば、あらゆる場所を採掘し、「なくなるまで」掘り出すということになるでしょう。
さらに、今はまるでダメとみられ、海のものとも山のものとも分からないほとんど見通しのたたないメタンハイドレートが来世紀のエネルギーになると宣伝されれば、天然ガスと同じメタンガスであるため、コスト的に使い物にならないモノでも天然ガスの後継者と思われてしまい、天然ガスを使い切っても、まだメタンハイドレートがあるさ、という心理になりえます。
石油の場合はストックをなるべく多く持とうという心理が働きますが、天然ガスの場合は「トコトン掘り尽そう」となるはずです。
枯渇したとしても「採れただけめっけもの」で、貴重な財産を失ったとは思えず、「もーけ」で終わってしまうことになります。
よって天然ガスは隅から隅まで採掘される可能性が高く、一度採掘の手が入れば枯渇するまで永遠に採掘され続けるという運命を持っているのではないかと思われるのです。
ならば30年という差があったとしても、「保存に動く石油」よりも、クウキとして認識され、カラッポになるまで「採掘し尽くされる天然ガス」のほうが、より早く枯渇の時期を迎えそうな気がしてならないのです。
石油は来世紀まで持ちこたえると思われますが、削減されたその代替分として天然ガスが今世紀のエネルギーとして消費されるのではないかと思えるのです。
2038年までの近未来をみてみれば、都市部での4WDは消えていく。
一般車両はハイブリッド化する。
その技術についていけなかったメーカーは天然ガス車に命運をかけることになる。
ガソリンスタンドは「天然ガススタンド」となり、天然ガス車両が一気に普及する。
ハイブリッド自体も天然ガスエンジンを積むようになり、ガソリンは巷から消えていく。
そして、電気自動車の開発が競って行われる。
といったことになるように思われるのです。
これはあくまで私見です。
<つづく>
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2008年5月16日金曜日
ロシアと天燃ガス2:埋蔵量 琵琶湖10個分
ロシアと天燃ガス2:埋蔵量 琵琶湖10個分
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
「LPG」は石油あるいは天然ガスの副生品、言い換えると「おまけ」。
石油・天然ガスが金魚なら、LPGは「金魚のフン」。
プーチンに巨億の富をもたらした金魚本体そのものは「天然ガス:LNG」。
天然ガスが身近に使われているのが「都市ガス」、パチンとひねれば天然ガスがシューと出てくる。
さらにもっと身近に天然ガスが存在することを思い知らされたのが、この事故ニュース。
『
★ asahi.com 2007年06月20日01時46分
☆ http://www.asahi.com/special/070619/TKY200706190541.html
東京・渋谷の温泉施設で爆発、3人死亡 天然ガス引火か
──────────────────────────────
19日午後2時半ごろ、東京都渋谷区松濤(しょうとう)1丁目の温泉施設「渋谷松濤温泉シエスパ」の従業員用施設で爆発が起きた。
建物は全壊し、従業員の女性3人が死亡し、通行人を含む3人が重軽傷を負った。
施設の地下には温泉水を地中からくみ上げる設備がある。
警視庁は、くみ上げの際に混入する天然ガスが充満し、何らかの原因で引火した疑いが強いと判断。
業務上過失致死傷容疑で20日に施設を捜索するなどして爆発の経緯を調べ、管理責任の有無を捜査する。
経済産業省原子力安全・保安院も調査のために現場に職員を派遣した。
捜査1課などの調べだと、爆発が起きた「B棟」は、鉄筋の地上1階、地下1階建てで、地上部分が更衣室と休憩室になっていた。
9階建ての温泉施設(A棟)と道路を挟んで位置していた。
B棟は屋根や壁が吹き飛び、鉄の骨組みを残すだけとなった。
爆風で付近の建物のガラスが割れるなどし東京消防庁が確認しただけで建物28棟、車両12台に被害が出た。
B棟地下には、ポンプで地中約1500メートルからくみ上げた温泉水をためるタンクやくみ上げ装置がある。
「温泉水に混入する天然ガス」を分離」し、排出する設備があるが、排気されなかった疑いがあるという。
設備の保守は、委託されたビル管理の社員が担当。
B棟は毎日午後に点検しており、18日も午後2~3時に点検し、特に異常はなかったという。
温泉水はB棟のタンクから地下のパイプを通ってA棟に回り、ボイラーで温めたうえ館内に供給されているという。
平日の同時間帯には100人ほどの客がいるといい、爆発時もかなりの数の客がいたとみられる。
施設は女性客専用で、昨年1月に開業した。
現場は渋谷の繁華街の一角で、東急百貨店本店などの商業施設や住宅が立ち並ぶ地域。
』
石油探索技術の進歩により、1000--2000mくらいはいとも簡単に掘れる昨今では、東京の至るところで温泉が吹き出してくるといいます。
「深大寺温泉」は味はありませんが薄めた醤油のような色をしており、「武蔵野温泉」は透明ですが海水で塩辛い。
この事故は「渋谷温泉」で発生した事故といえます。
ところで、「温泉水に混入する天然ガス」とは。
『
★ 関東平野南部の地下に埋蔵される天然ガス
☆ http://www.gsj.jp/Gtop/topics/gas/index.html
南関東ガス田の分布
───────────
関東地方南部の平野の地下には約250~40万年前に海底に堆積した「上総(かずさ)層群」と呼ばれる地層が分布しており、この地層の隙間にある地下水(鹹水(かんすい);化石海水)には天然ガスが溶けています。
この地層から「千葉県で生産されている天然ガス」は、日本の天然ガス生産量の「十数%」に当たります。
この「南関東ガス田」に埋蔵されている天然ガスは、国内の天然ガス確認埋蔵量の「9割」を占めるほど膨大なものです。
しかし、天然ガスが比較的浅い地層に含まれているために、天然ガスの採取に伴う大量の地下水の汲み上げが地盤沈下を引き起こす怖れがあります。
そのために、天然ガスの開発は人口密集地域では規制されており、また汲み上げる地下水の量も制限されています。
天然ガスの主成分はメタンで、地層の中で微生物が作り出したことが(独)産業技術総合研究所地質調査総合センターなどの研究によって明らかになっています。
都内にある温泉施設では、地下1000~2000m程度の深さから地下水を汲み上げており、メタンは地下の高い圧力によって水に溶けています。
しかし、メタンは大気圧ではほとんど水に溶けないので、水が地上に汲み上げられると自然に水からメタンガスが分離することになります。
※.なお、このWebサイトは関東平野南部の天然ガスについて解説したもので、今回のガス爆発事故の原因を特定したものではありません。
』
上記のグラフを見ると東京山の手線内から千葉県北部、つまり千葉市を中心に半径30Kmほどの真下にガス田があり、それが日本の天然ガス確認埋蔵量の「90%」を占める「南関東ガス田」だということなのです。
「ガス田」とはなにか。
「可燃性天燃ガスを産出する地域」のことである。
つまり、東京中心部ならびに千葉県北部は自然エネルギー源の上に乗っかっている地域だということになります。
Wikipediaによると南関東ガス田の埋蔵量は「3,750億m3」あると推定されているという。
日本でも天然ガスが採れるのです。
石炭のほかに、エネルギーがあるのです。でも、わずか。
やはり、日本はエネルギーで苦しむ国のようです。
でもその苦悩が日本人の勤勉さを支えている。
その「天然ガス」とは何かを見てみます。
主成分は「メタン」で比重は空気よりも軽い。
プロパンガスは重たいこれは軽い、そこがプロパンガスと大きく異なる点である。
__比重(空気=1.00)______製 品
-----------------------------------------------------------
メタン_____0.64 天然ガス(都市ガス)
プロパン___1.52 プロパンガス(家庭用プロパン)
ブタン_____2.00 プロパンガス(低圧:使捨てライターなど)
ガソリン____2.95 ガソリン
プロパンは常温で気体、よって圧力で液化させる。
そのため、あの分厚い鉄製のLPGボンベが必要となる。
ところがこれ「-162度」で液体化する。
そしてそのまま常温で「液体」である。
気化すると空気より軽い。
ウソだろうと思えるような、なにかとってつけたような「ウマイ性質」。
液化すればタンカーに積んで搬送できる。
空気より軽いのですから、ガスのままならちょっと圧力をかけてパイプラインに押し込んでやれば、いとも簡単に「送気」できる。
どちらも可能。この性質によって、石油とならぶエネルギー王者になる。
この液化した天然ガスを「液化天然ガス:LNG」という。
さらに天然ガスがLNGになると体積は「1/600」となり、大量輸送が可能になる。
下記のホームページが分かりやすいので、目次をあげておきます。
『
★ 財団法人 天然ガス導入促進センター
「明日をひらくクリーンエネルギー天然ガス」についての情報サイトTOPページ.
☆ http://www.naturalgas.jp/
天然ガスの基礎知識:天然ガスはどのようにできるの?
* 天然ガスとは
* 天然ガスができるまで
* 天然ガスの特徴
* LNGとは
クリーンエネルギー天然ガス:天然ガスは環境に優しいクリーンエネルギー
* 地球温暖化とは
* 地球にやさしいエネルギー
供給安定性にすぐれた天然ガス:世界・日本の天然ガス事情はどうなっているの?
* 天然ガスが届くまで
* 天然ガスの地域分布
* 天然ガスの埋蔵量
* 天然ガスの生産量と消費量
* 天然ガスの輸出量と輸入量
* 日本のLNG(液化天然ガス)輸入状況
* 日本のLNG(液化天然ガス)プロジェクト
* 世界のLNG液化基地・日本のLNG受入基地
* 天然ガス導入事業者数の推移、熱量変更
天然ガスの利用例 :~天然ガス自動車・燃料電池など~
* 天然ガスの利用状況
* 家庭での利用
* 業務用の利用
* 熱・電気利用
* ガス冷房
* 燃料電池
* 天然ガス自動車
天然ガスの未来 天然ガスの需要はこれからどのようになっていくの?
* エネルギー供給の柱のひとつである天然ガス
* 日本のエネルギー政策
* 新たな資源の研究開発
』
いったい世界に、どれほどの天燃ガスがあるかが、もっとも興味のあるところ。
Wikipediaによると「BP統計2005年版」では世界の確認可採埋蔵量は「約180兆立方メートル」、可採年数は「66.7年」という。
上記の財団法人天然ガス導入促進センターの「天然ガスの埋蔵量」では2005年で「160兆m3」、可採年数は「63年」という。ただし、データの埋蔵量の合計では「174兆m3」になるので「160兆m3」は間違いであろう。
社団法人日本ガス協会では2003年12月で「176兆m3」、「67年」であり、これは「BP統計2004年版」である。 また、東京ガスのホームページによれば「171兆m3」、「64年」とあり、それぞれで異なっている。
『
★ 東京ガス : なるほど!天然ガス
☆ http://www.tokyo-gas.co.jp/Annai/naturalgas/tennen/top01.html
2005年現在、約171兆m3と豊富な埋蔵量が確認されており、可採年数(確認埋蔵量を消費量で割った残存年数)は、石油の約49年に対して約64年におよびます。
その上、現在でも新しいガス田が次々と発見され、埋蔵量は今後もさらに増大すると予測されています。
』
統計調査とはある傾向を計るもので、ピッタリ合うものではないから上の4つから類推すると、確認埋蔵量は「170兆m3---180兆m3」、可採年数は「65年前後」ということになります。
「可採年数」とは上記ホームページより「確認埋蔵量を消費量で割った残存年数」ということになります。
その地域的割合は下記のようになります。
______地域___________________%___「BP統計2004年版」より
-----------------------------------------------------------
中東_______________________40.8__
ロシア______________________26.7__
ヨーロッパ・ユーラシア ____________8.7__ (ロシアを除く)
アフリカ _____________________7.8__
アジア・オセアニア_______________7.7__
北米 _______________________4.2__
中南米______________________4.1__
ところが、ここで困ったことは「兆m3」ではあまりに大きすぎて、専門家でもない限りいったいこの数字、どれほどのものかがさっぱりイメージできない。
それを手元に引き寄せるのが「電子網さんぽ」の役目。
分かっていることが一つある。
天然ガスを液化すると「液化天然ガス:LNG」になる、このとき体積は「1/600」になるという。
確認埋蔵量を平均値「170兆m3」として計算してみる。
世界埋蔵LNG量=170,000,000,000,000/600=170兆0000億/600=2,833億m3
さらに「石油枯渇1」で使った式を利用する。
日本最大の湖、琵琶湖、最深103m、平均水深41m、貯水量は「27.5Km3」。
「1Km3」とは1立方キロメートル。
立方メートルに直すと「1000m×1000m×1000m=1,000,000,000m3=10億m3」。
ということは琵琶湖の貯水量は「275億m3:275億トン」。
LNGと水では比重が異なりますので、体積で比較してみる。
2,833億m3/275億m3=10.3個
「琵琶湖:10.3個分」のLNGが採取可能の埋蔵量(確認埋蔵量)としてあるということになる。
「石油枯渇1」では石油の可採資源量を「17.6個分」と算出したが、これは確認埋蔵量に未発見資源量などを加算したものであった。
10.3個という数字はこれとは違い、現在の確認埋蔵量についてのみである。「未来分は算入していない」。
「電子網ふらり」の特別単位「ドーム」で計算してみよう。
東京ドームの体積は「1,240,000m3」。
2833億0000万m3/124万m3=228,468ドーム
東京ドーム「23万個分」になります。
計算手順:
1.天然ガス体積「***兆m3」を「1/600」して、LNG体積「****億m3」を求める。
2.それを東京ドーム体積「124万m3」で割って「***,***ドーム」を求める。
【注】:素人の電卓計算なので間違いがあるかもしれませんので確認してください。
ちなみに、南関東ガス田を計算してみる。
天然ガス埋蔵量「3,750億m3」をLNG体積に変換する。
3,750億m3/600=6億2500万m3
ドーム単位に変換する。
6億2500万m3/124万m3=504ドーム
すなわち、南関東ガス田は東京ドーム「約500個分」のLNGを有していることになる。
もう一つ基本資料を作ってみましょう。
というのは、天然ガスは「m3」単位で計算されるが、LNGは「ton」で計算される。
例えば、埋蔵量は「立方メートル」であるが、LNGはタンカーで運ばれてくるため「トン」になる。
この互換式が必要になるが、ウエブを検索してみても、よく分からない。
そこで自家製で簡単に作ってみることにする。
財団法人天然ガス導入促進センターの「天然ガスの輸出量と輸入量」と「日本のLNG(液化天然ガス)輸入状況」の2つを使って計算する。
このデータによると日本の天然ガスの輸入量は「765億m3」、LNG輸入量は「5781万トン」。
なを、東京ガスホームページデータではLNG輸入量は「5802万トン」とあり、少々ですが違いがありますが、誤差の範囲であり、ここでは促進センターのデータを参照しておきます。
まず、天然ガスを1/600して、LNG体積を求める。
765億0000万m3/600=1億2750万m3
単純計算では、この「1億2750万m3」が「5781万トン」ということになる。
12750/5781=2.2
つまり、「2.2m3=1ton」が「LNG交換比」になる。
ということは、日本は年間「102ドーム」の天然ガスを輸入していることになる。
1億2750万m3/124万m3=102個
なを、南関東ガス田には日本の輸入量の「4.9年分」の埋蔵量があるということになります。
3,750億m3/765億m3=4.9
また、先のプロパンガスは国内需要量が「1800---1900万トン」ですので、LNGの「5800万トン」はLPGより「3倍多い」ということになります。
なを、この両者は比重が違うため、トン数では体積換算でのドーム単位の比較はできません。
日本の一次エネルギーにおける天然ガスの構成比は2005年には「14%」です。
主な用途としては、その「70%」が火力発電用、「30%」が都市ガス用として使われている。
日本にあっては主に「発電用」という縁の下の力持ち、裏方パワーのため、あまり馴染みがないのも事実です。
輸入先はインドネジアとマレーシアがそれぞれ約1/4づつ、オーストラリアが18%、10%前後でカタール、ブルネイ、アラブ首長国連邦となる。
その特徴は石油・LPGは中東産油国からのものでしたが、それとは違って輸入の過半がアジアから供給されているということにある。
日本の場合は島国という事情からパイプラインではなく、「LNGタンカー」で運送される。
そのため、LNGのコストはパイプラインより高くなっています。
LPG、LNGは日本では「ガス体エネルギー」として分類されており、そのアウトラインは「2005年版 資源エネルギー庁 エネルギー白書」で見ることができます。
★ 資源エネルギー庁 エネルギー白書2005年版 ガス体エネルギー
☆ http://www.enecho.meti.go.jp/topics/hakusho/2005/html/17022240.html
<つづく>
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2008年5月9日金曜日
ロシアと天燃ガス1:プーチンの個人資産
ロシアと天燃ガス1:プーチンの個人資産
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
「日本石油鉱業連盟」の発表では石油は「約70年」分、天燃ガスは「約100年」分あるということです。
『
☆ http://sankei.jp.msn.com/life/environment/071129/env0711291943001-n1.htm
石油枯渇まで68年 石油鉱業連盟 産経新聞:2007.11.29
───────────────────────────────
世界の石油が枯渇するまであと「68年」。
一方、天然ガスの枯渇年数は「98年」と予想。
うち、既に確認されている埋蔵量で「50.7年」分、技術革新で「30.2」年、未発見資源で「17.32」年と試算、将来は石油を天然ガスが補うと予想する。
』
「石油枯渇」を書き始めたとき、「年明けにに1バレル100ドルを突破、史上最高値」と驚いたが、今はなんとあっさり「120ドルを超えた」。
半年もしないうちに2割以上のアップ、とんでもない上昇、下落する要素は見当たらないという。
また、日本のガソリン小売値は暫定税率復活後の昨日、過去最高値をつけたという。
石油はどんどん遠のいていく、そして「石油はますます枯渇しない」。
「石油枯渇」については前稿にまかせるとして、石油が使えなくなってから、さらに一世代はエネルギーに困らないのはこの天然ガスがあるからである。
とりあえずは向こう1世紀間、すなわち今世紀いっぱいは人類存続のためのエネルギー保障が得られいるということになる。
このお助けマンである「天然ガス」についての知識をもう少し増やしてみたいというのが本稿の狙いです。
ロシアではメドベージェフ大統領の就任式が行われ、プーチン首相との両頭体制が発足した。
最近の衝撃的ニュースはこれ。
『
★ 東京新聞 2008年3月4日
☆ http://www.tokyo-np.co.jp/article/world/news/CK2008030402092469.html
「四百億ドル(約4兆1200億円)」
発展途上国の国家予算にも匹敵するこの数字は、「プーチン大統領」が八年間の在任中に築いた「個人資産総額」といわれる。
内訳は、ロシア三位の石油会社スルグトネフテガスの株式37%が中心で、多くの有力企業株を保有している。大統領は「欧州一の富豪」といえる。
資産を調査した「国家戦略研究所」のベルコフスキー所長はそう断言する。
』
すごいです、個人資産「4兆1200億円」。
マイクロソフトの「ビル・ゲイツ」の資産が「5兆3千億円」というから、まさにプーチン大統領が「欧州一の富豪」というのも頷ける。
それをたったのわずか「8年間」で溜め込んでいる。
いかにロシアの官僚が儲かる職業であるかということです。昔の中国の科挙の合格者のはるか上をいく。
『
「プーチンは貿易や民営化で市に利益をもたらす実業家のような存在だった。
法的に微妙なこともやってきたが、それを合法化するのがメドベージェフの役割。
経営者と顧問弁護士のような関係だった」と、二人をよく知る地元紙記者は話す。
2000年に大統領に就任したことで、プーチン氏の「経営」は市から国家に拡大する。
大統領は忠誠をつくした人物に民営化の利権を満遍なく分配してきた。
実際、大統領を支える要人はいずれも大企業の幹部を兼任している。
問題は利権を得た要人の多くが大統領と同じ旧ソ連国家保安委員会(KGB)出身者であることだ。
高級官僚の「78%」が治安機関関係者ともいわれる。
メドベージェフ氏が後継者に選ばれた鍵もこの点に潜んでいる。
ロシア国際化研究所のデリャギン所長は「旧KGB関係者が後継者になった場合、彼らの中での利権均衡が崩れ、内部抗争が激化する。それで、旧KGBと無縁のメドベージェフ氏が選ばれた」と解説する。
大統領も含め、要人の資産の多くは名義を変え欧米の金融ファンドなどで秘密裏に管理・運用されている。
反欧米姿勢の強い旧KGB関係者がトップに立てば欧米のロシア警戒感が高まり、不透明な資産が摘発される恐れがある。
ベルコフスキー所長は「法律家でリベラルなイメージが強いメドベージェフ氏なら、欧米も大統領らの資産に手を出さないとの判断もあっただろう」と付け加える。
』
プーチン大統領、凄腕。抜かりはない。
さすが、近年まで「CIA」と並んで世界で嫌われていた「KGB」国家秘密警察署署長。
『
大統領が主導してきた垂直型の利権構造は、ロシア経済をむしばんできた。
「調査機関インデム」によると官僚が受け取るワイロは「年間三千億ドル(約33兆円)」を超えるという。
プーチン政権発足時の十倍。「国家予算の二倍以上」だ。
インデムのサタロフ所長はこう警告する。
「原油高による経済成長の恩恵は政権上層部や官僚が吸い取り、底辺には行き渡らない。貧富の差は拡大する一方だ。新体制は、プーチン政権が自身らの富と引き換えに内在化させてきたひずみと直面することになる」
◇ ◇
大統領選でメドベージェフ氏が当選し、ロシアでは「メドベージェフ大統領=プーチン首相」の新体制がスタートする。
』
公務員のワイロ額が「33兆円」、国家予算の2倍以上。
日本の一般会計予算が「80兆円」ほど。
東京都の一般会計予算と特別会計予算それに公営企業会計の3つを合わせた全会計額が「12兆5000億円」。
ロシアの人口は「1億4300万人」、日本の「1億2800万人」と比較してわずかにたった「10%」ほど多いだけ。
なのに東京都の全予算の「2倍半」を超えるワイロが官僚のフトコロに入る。
なんともすさまじい。日本人の感覚ではとてもじゃないが付いていけない。
疑問に思うのが国家崩壊に陥ったのが旧ソ連、その元たるロシアにどうして、そんなお金があるのかということ。
その解答はロシア国内で豊富に採れる「天然ガス」、それに西側技術で復活した「石油」。
これまでは世界で社会主義を維持するために、近隣諸国に「ほぼ無償」に近い形で供給していたのが天然ガス。
それが社会主義を捨てて、資本主義に変わったため、売り買い商品に形が変った。
石油は原油高で技術導入をしても採算がとれるようになった。
ロシアとはもともと「エネルギー大国」なのです。
どのくらいの金持ちか「台湾3」であげたデータをもう一度見てみましょう。
『
★ ロイター
☆ http://jp.reuters.com/article/economicNews/idJPnTK002336920071001
外貨準備高の世界トップ5カ国(単位:億ドル)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
__________2007年8月_______2006年末
---------------------------------------
中国______$14,000_________$10,660__
日本______$9,320__________$8,950__
ロシア_____$4,160__________$3,040__
台湾______$2,610__________$2,660__
韓国______$2,550__________$2,390__
』
瀕死の重態であったロシアをあっという間によみがえらせた天然ガスのもつ威力のすごさがイメージできます。
ついでに汚職も蔓延させた。
民間経済の仕組みを知らない官僚のいきつくところはワイロ。
党中央部に上りつめるという心理的希望を失った共産党員が、その空隙をうずめるために振り替えで求めたものは目に見える物理的な「カネ」。
中国共産党崩壊後の中国公務員のいきつくところも同じでしょう。
「ゼニや」の世界。
『日本人は永遠にロシア人を理解できない』 プーチン・メドベージェフ共著
という本が公刊されるかもしれません。もちろん、偽作ですが。本当の作者は誰。
では石油よりも長い寿命を持つという「天燃ガスとは何なのか」。
日本ではあまり馴染みのない『ロシアと天然ガス、それにヨーロッパとの関係』を探ってみるのが今回の「電子網さんぽ」のテーマです。
天然ガスとして身近に使われているのが「都市ガス」。
パチンとコンロを捻るとパッと火がつく。身近なガスタンクから配管され、家庭へ送られてくる。
でも大規模配管ナシの「ガスコン・パチン」がある。
通称「プロパンガス」。
天然ガスとプロパンガスは別物である。
天然ガスは「液化(Liquefied)天然(Natural)ガス(Gas)」で「液化天然ガス」で、この頭文字とって「LNG」と略称され、また短縮されて「天然ガス」と呼ばれる。「液化天然ガス」が正式名称である。
天然ガスは「メタン」を主成分とする天然の可燃性ガスである。
プロパンガスの正式名称は「液化(Liquefied)石油(Petroleum)ガス(Gas)」で、この頭文字とって「LPG」と呼ばれています。
常温では気体だが圧力をかけたり、冷却すると簡単に液体になる。
目に見える例では「使い捨てライター」で、圧力をかけて液体としたLPGがプラスチックケースの中に見える。着火するときは常温の気体になっているので、その動きが分かりやすい。
「LPG」「LPガス」「プロパンガス」「石油ガス」といろいろに呼ばれていが、「液化石油ガス」が正式名称である。
なを成分としては、プロパンガスは「プロパン」と「ブタン」を合わせた物の総称である。
とすると、成分定義からプロパンは「天然ガス」には分類されず、「石油ガス」として石油の「副生品」として分類されることになる。
日本人にとっては天然ガスより、プロパンガスの方が身近な存在になっており、これを混同して解釈されている方も多い。
そこで、まずLPG:プロパンガスの概略を見ていきたいと思います。
まずは、下記のホームページから。
『
★ プロパンガス基礎知識
☆ http://www.chopro.co.jp/kiso/index.html
LPガスは、次の方法で生産されます。
───────────────────
1... 採掘された「天然ガス」の中にあるコンデンセートガスを分離・抽出。
2... 採掘された「原油」の中にあるボイルオフガスを分離・抽出。
3... 「石油精製過程」等で生成されるものを分離・抽出。
』
なを、Wikipediaによると、上記の生産以外のものが「世界的に約半分を占め、多様なエネルギーソースを持つガス体燃料」といえる、としている。
『
輸入LPGは、「低温で液体にしたLPG」を「LPG専用タンカー」で日本に運んできます。
日本に運ばれたLPGは、輸入基地に貯蔵され、次に液体状態でタンクロリーに積まれ、自動車用はLPG自動車スタンド、産業用は各工場、都市ガス用は都市ガス会社、家庭用や業務用は充填工場でLPGボンベに詰めてご家庭や業務用のお客さまに届けられます。
LPGは、何かあっても安心してLPGをご利用いただけるよう備蓄が義務づけられており、現在LPGメーカーに義務づけられている「民間備蓄50日」に、2010年までに「国家備蓄30日」が加わり、「日本のLPG備蓄は80日分」となります。
』
Wikipediaの解説をつけ加えますと、
『
簡単な圧縮装置や冷却容器で液化する。
圧縮圧力はブタンで約2気圧、プロパンで約8気圧で容易に液化できる。
そのとき、体積は気化ガス時の「1/250分」となり、可搬性に優れる。
耐圧の低いタンクで貯蔵・輸送が可能である。
また、ガスが漏れると爆発を起こしやすく危険なことや、さらに、比重が空気より重く下に滞留するためガスが漏れた際に感知できるようメルカプタン等を添加して着臭(タマネギの腐ったような臭いと表現されることが多い)し最終消費者へ供給される。
』
家庭用プロパンガスは主に「プロパン」でわずかにブタン等が混じっている。
よって高圧力のため重量のある強固なボンベが必要になる。
それに対して使い捨てライターや「カセットフー」などの簡易コンロは「ブタン」が使われているため、約2気圧の低圧である。
よって、ライターなどの微量のブタンではプラスチックケース、コンロの交換カセットでは薄い鉄板ケース缶でも十分耐力があるということになる。
世界のLPGの生産量は「2億1900万トン」。
日本の消費量は「1800万トン」。世界の消費量の「8%」に当たる。
『
★ 日本LPガス協会
☆ http://www.j-lpgas.gr.jp/
__________生産(%)__消費(%)_
--------------------------------
北米_______24_______26__
中南米______11_______12__
ユーラシア___18_______18__
アフリカ______7_______4__
中東_______18_______7__
アジア______22_______33__
』
これで分かることは、LPGは世界のほぼ全域で採取することができるということ。
それからもう一つ、中東の残余分がアジアに輸出されるのが大きな特徴で、それ以外は生産地で直接消費されているということです。
単純にいうと、日本と韓国がその輸入国で、日本の場合は中東産油国からLPGの「80%」を輸入している。残りはインドネシア、オーストラリア、マレーシアなどから。
だが、実際のLPGは天然ガス田から「60%」、製油所から「40%」で、天然ガス田からの方が多い。
また、日本の消費量の75%は輸入であるが、25%は原油を製油したとき発生したもので、国内生産ということになる。
しかし、原油自体は輸入なのでLPGとは、日本にとって石油に随伴するガスエネルギーであり、石油の盛衰と軌を一にしているエネルギーだということがわかります。
★ 日本LPガス協会 LPガス業界の概要 2003年1月版
☆ http://www.j-lpgas.gr.jp/news/01_004/pdf/setumeishiryou_20030127.pdf
寄り道をして「プロパン自動車」について。
身の回りで見かけるのがタクシー。
覚えておられる方も多いと思いますが、タクシーの燃料がガソリンからプロパンにかわったときによく起こった事故があります。
タバコをすっていたら、突然爆発したというもの。新聞の紙面をすこぶる賑わせた事故で、いっときタバコを吸う人はプロパンガス・タクシーへ乗ることを控えたほどでした。
原因はタンクのジョイント部分が甘く、車の振動でガス漏れを起こし、それが車内に充満し、限界を超えたときタバコの火で爆発するというものでした。
LPGは無味無臭の気体で、比重が空気より重いため、空気中に逃げることをせず、凹型の形状をもつ空間では足元に溜まってしまう性質を持っています。そのため自動車以外でもLPGを使う住宅での爆発事故がよく報じられていました。
漏れ対策が種々講じられ、先のごとく着臭され、ガス漏れが感覚で分かるようにされました。
いまでは、LPGのタンク漏れによる爆発事故はひじょうに少なくなっています。
現在、山間部のLPGスタンドのない地域を除いて、タクシーの95%ほどがプロパンを燃料にしている。
日本のタクシー台数は約23万台どですから、20万台以上のタクシがLPGということになります。
また約3万台のLPGバス・トラックや約2万台のマイカーも存在しているという。
自動車用LPGは通常は「オートガス」という名称で販売されている。
これは「ブタン8:プロパン2」の混合ガスである。
では何故、タクシーにLPGが多いのか。単純にいうと安いから。
Wikipediaから引用する。
『
「石油情報センター」の燃料価格情報によると、2007年11月現在でレギュラーガソリンは145円、軽油は121円」となっている。日本ではLPG車の燃料であるLPガスを指す「オートガス」では78円である。
欧州ではレギュラーガソリン:250円、軽油:200円、LPG:100円となっている。
』
ここではガソリンが「130セント(130円)」、デーゼルが「140セント(140円)」、それに対してオートガスは「70セント(70円)」ほど。
日本でデーゼルが安いのは、産業用として石油税が低いため。
ここでは区別がないため、ガソリンより2割りほど高くなる。
それに対してオートガスは半値ほどに安くなる。
デーゼルはガソリンより高いので、走ってはいるが黒煙を吐き、嫌われ者で昨今あまりはやらない。
新型の大型ラックはすべてオートガスといっていい。
Wikipediaで、世界のLPG車の普及台数を見てみる。
『
LPG車の普及状況
──────────────
世界LPG協会(WORLD LP GAS ASSOCIATION)が発刊した『2006年 世界LPG統計資料』では、前年度に比べ10.5%増加し、「1,145万台」を超えている。
その大半は乗用車(マイカー)が世界の中心であって日本のようなトラックは比較的珍しい。
LPG車普及台数では第1位が韓国の「230万台」(乗用車保有の20%)、第2位がポーランドの「200万台」、第3位がトルコの「150万台」、第4位イタリアの「99万台」、第5位メキシコ「75万台」、第6位がオーストラリアの「51万台」となっている。
普及割合は、韓国・欧州が多く欧州平均では総保有の1%~6%となっているが、近年はオーストラリアや東欧での増加が目覚しい。
』
なぜに韓国でこんなにプロパン車が普及しているのか。
『
★ 日本LPガス協会 驚異的な韓国のLPガス自動車普及
☆ http://www.j-lpgas.gr.jp/file/08.html
韓国では、都市部を中心に急速にLPガス自動車が増え、日本の約5倍の143万台が走っています。
タクシーやハイヤーといった営業車だけでなく、RV車など個人の自家用車にも、広く普及しています。
これに対して、スタンド数は846ヵ所。日本の半分以下のスタンドで、5倍以上の車の需要をまかなっていることになります。
飛躍的にLPガス自動車が普及した大きな要因は、政府の政策もあって、価格がガソリンの「1/4」以下に低く抑えられてきたということにあります。
ただし、現在、ガソリンとの価格差を「10:6」ぐらいに見直す動きがあり、これによりLPガス自動車の普及がどう展開していくか、今後注目されるところです。
注]:この記事は世界LPG協会の「2001年」の統計に基づいており、統計内容が先のものと異なります。
』
日本ではタクシーの95%がLPG燃料であるということは、ガソリン自動車のプロパン車への転用がひじょうに簡単であることを示している。
メーカーとすればオートガスのスタンドが普及し、十分に採算がとれれば、すぐにでもLPG車両を供給できるということである。
そうでない場合は個人的にもガソリン車をLPG車に改造可能ということでもある。
つまり、「ガソリン車エンジン」と「LPG車エンジン」とは同じものである、ということである。
元が石油で、そこから副生されたガスがLPGであることを考えれば頷けることで、供給システムに若干の手を入れることで改造可能ということになる。
そのため用の「改造キット」が販売されているというのが現況である。
Wikipediaを見てみる。
『
ガソリン車改造LPG車
─────────────
LPG車でよく聞かれる「改造車」というのは、燃料供給方式をベースのガソリン車からLPG用に変更したもので、各国の道路交通行政機関から公認改造を得るものである。英語では「レトロフィット」と呼ばれる。
近年ではニッキグループの開発したニッキVPIシステムを採用した車両や、田中モータース・ビーコムの開発したELPIでの改造、LPG内燃機関工業会(HPが無く問合せは03-3529-0466)が欧州技術(イタリア・ロバート社)を導入して開発したFASTシステムでの改造キット開発が進んできている。
改造費用は、車種によって異なるが排出ガス試験を終了した認証済車種では日本円で35~60万円程度となる
』
実際の改造の記録は下記のウエブで見ることができます。
それによると、軽自動車で「20万円--30万円」、普通自動車で「25万円--50万円」、トラック・バンで「25万円--35万円」とあります。
『
★ LPG自動車
☆ http://www.gas-energy.co.jp/htm/lpgcar2.htm
◆LPG自動車への取り組み紹介
──────────────
静岡ガスエネルギーは「未来を見つめ、環境を考え、人にやさしいエネルギー」を合い言葉に、使用している自動車(ガソリン、軽油車)を計画的にLPG自動車に転換をしております。
◆LPG自動車採用当時のエピソードを紹介します。
────────────────────────
世間一般に、LPG自動車という自動車が知られていません。主に、タクシー会社が使用しています。
自動車メーカーもLPG自動車販売は、タクシー会社に販売するのみで、LPG自動車の車種等が限定されていました。
当社は、小回りのきく「軽自動車」の採用に苦労しました。
普通自動車は、タクシー会社に販売している車種で採用できましたが、どうしても、毎日の業務作業を考えると、軽自動車の採用が不可欠でした。
軽自動車は、LPG燃料の実績があまりなく、採用する車種も限定されていたので、色々なトラブルが発生しました。
「アイドリング時にとまってしまう」「アイドリングが不規則である」「エンジンがなかなかかからない」等のトラブルが発生するごとに、メーカーに対応して頂き、そして、その当時の専任運転手の苦労が実り、今現在はトラブルもなくなり、スムーズに運行しています。
』
さらに進んでいるのが「LPi車」である。
ご存知ですか、私ははじめて聞いた言葉でしたが。
『
★ 環境への取り組み>>LPガス車
☆ http://www.enekun.jp/kankyo/lpgas-car.html
LPガス車・LPi車の導入推進
─────────────────
我が社では、『環境理念』の一環として、環境にやさしいLP自動車、LPiガス自動車を自社で積極的に導入し、お客様にも提案を行っております。
LPガス車とは?
────────
LPガスのみを燃料とする自動車
LPi車とは?
────────
LPi(Liquid Petroleum gas Injectionの略)車は、LPガスとガソリンを燃料(バイヒューエル方式)とし、『高出力、低燃料、優れた排ガス特性』を特徴とした、環境にやさしい先進車です。
ガソリン車と同等です。LPガス使用時でも、高出力(ガソリン車以上の体感)
ガソリン車と比較すると、約80%ですが、LPガスの価格がガソリンに比べ約60%(当社比)ですので、燃料費は低く抑えられます。LPガス車と比較すると、10~20%低燃費。
LPガス車よりさらにクリーンです(低燃費のため)。
液噴方式により、適正な燃料混合率が確立でき、完全燃焼に近づきました。
LPガスとガソリンの「2種類の燃料」で走行可能です。
エンジンをかける時はガソリンを使い、走行時(暖機後)に自動的にLPガスに切り替わります。
コンビネーションパネルでのワンタッチ操作で、走行時でもLPガスとガソリンの切り替えは可能です。
LPガス用とガソリン用の2つのタンクを搭載しておりますので、近くにLPガススタンドがなくても安心。
当社の導入状況(車両台数148台)
─────────────────
LPG:: 32台
LPi:: 17台
ダソリン: 89台
デーゼル: 10台
--------------------------
合 計: 148台
』
つまり、「LPi車」とは、切り替えでガソリンでもプロパンガスでも走れる車のことである。
考えられることは、実践されているということのようです。
ただ、2つの燃料タンクを積まないといけないという不便さはある。
これでプロパンガスのイメージは概略ながらつかめたと思います。
液化石油ガス(LPG)はこれで閉じ、次は天然ガスを見てみます。
<つづく>
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2008年5月3日土曜日
石油枯渇4:「2038年」へ向けて
石油枯渇4:「2038年」へ向けて
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
「適正人口」のあとに、この「石油枯渇」をやっていると、ちょっとバカバカしく思えるときがあります。
適正人口の場合は、日本は「2050年」に1億人になる。
人口爆発が沈静化に向かいつつあるので、これはほぼ分かっている。
1億人になってから、さあこれから「どうする」という問題が主なる探求のテーマになる。
同じようなスピードで減りつづけ8千万人を切るかのか、それともソフトランデイングして9千万人ぐらいで落ち着いてくれるのかといった論で、その見通し日付は「2100年」である
ところが、人口が1億人になって、さあこれからやっと主要なテーマに入るだろうというとき、すでに「石油」の議論は終わっているのです。
どのデータを覗いてみても、悲観論でも楽観論でも、せいぜいのところ十数年程度の差しかない。わずかな年月の差を捉えて、ああでもない、こうでもないと言っている。
日本の人口が「静止人口」になるであろうと思われる「2100年」のとき、どうひっくり返っても容易に取り出せるコストの安い「石油」はないようなのです。
「天然ガス」もほぼないようです。
どうもエネルギーは「非常に高価」な代物になっているようなのです。
なら、8千万人から9千万人の日本人はどうなるのだろう。
緑を失ったエジプトのように、日本人は、いや「世界は砂の中に沈んでいく」のだろうか。
それとも採取高価なエネルギーをふんだんに使えるほどの、「スパーリッチになっている」のだだろうか。
想像でものを言うなら、もはやそのとき石油は我々の前に「目に見える形」では存在していないだろう、ということである。
我々のだれもが「ウラン」をみたことがない。
しかし、電気の3割はウランが作り出している、そんな日常では見ることのないエネルギーに変わっているだろう、ということではないかと思う。
そこでは、ウランの値段を知らないように、原油の価格に一喜一憂することもなくなっているのではないかと思う。
今の子どもたちは炭を知らない、練炭も、石炭も、コークスも知らない。
エネルギーはスイッチを入れるか、コックをひねるかで出てくるものに変わっている。
形を知っているエネルギーといえば、車に入れるガソリンと暖房用の灯油であろう。
それが炭や練炭のように見知らぬものになっても不思議なことではない。
1億を切ったとて人間がいる限り、日本は存在し続ける。
そして、何らかのエネルギーを手にしているはずである。
誰も「砂に沈みゆくことを望んではいない」。
報告書の読み込みを続けましょう。
箇条書きにしてまとめてみます。
1.
10億バレルを越える超巨大油田を、あるいはそれに次ぐ規模の油田が発見される可能性はあるか。
イラクの西部砂漠地帯に一部取り残された土地もあるが、「炭化水素」の存在する可能性につき、最大値最小値の予測はほぼ出揃っている。これによれば、30年あるいは50年にもわたって生産を続ける規模の油田を発見することは難しくなっている。
2.
いずれの油田も生産量のピークを超えるとともに、生産は減退に向かう。
生産量を補うための技術的手段として「増進回収法:EOR」を実施するが、生産コストは1バレル当たりで7~8ドル跳ね上がる。
3.
英国政府は「北海油田」からの生産量にかんしての報告書を発行して詳細なデータを公開している。
マーチソン油田は1975年に発見され、5年の準備期間を経て、1980年から生産が開始された。日量11万バレルの生産量に達したのち、3年間はピークを維持した。その後、生産は減退に向かい、2001年は日量約6千バレルとなった。
この報告書によると個々の油田でのピーク量を維持できる期間は数年であり、ピーク生産をカバーできる規模での設備はピークを過ぎたとき、経済負担になりコストを引き上げる要因になる。
よって、埋蔵量の推移を考える場合に最も重要なのは「生産量ピーク」がいつ到来するかという点である。
4.
OECDのIEAは、世界の石油需要が今後、拡大するのにあわせて、増産可能なOPECが中心になって石油供給の大幅な増大を行うと予測する。
これはOECDが中東OPECが2030年に「5000万バレル/日」を超える生産が可能という埋蔵量を算出しているからである。
__________中東OPEC___
--------------------------------
2000年実績::2,100万バレル/日
2010年予測::2,650
2020年予測::3,780
2030年予測::5,140
5.
一方、楽観派にも悲観派にも組みしない、「イラン国営石油会社 NIOC」のバクチアリ氏(Bakhtiari)という方は、中東諸国は2010年までは増産するが、その後、生産量は激減し、2020年には「1,742万バレル/日」に止まると予測する。
__________中東合計__
--------------------------------
2000年実績::2,304万バレル/日
2005年予測::2,295
2010年予測::2,419
2020年予測::1,742
石油価格が上昇したとしても、新規石油開発が始まって生産量が増える可能性は、埋蔵資源量が減りはじめると、急速に後退するという。
これは、世界のエネルギー需要は今後も増えるにもかかわらず、石油生産余力を持つ中東諸国においても、「生産制約」が生じ、「生産量上限」が存在するという意味を持つ。
つまり、新規の大型油田の発見が減少していくと、中東産油国は石油に対する需要があるにもかかわらず、「既存の油田を維持」しようという傾向が強まり、増産せずに、「生産量を減退に向かわせる」立場になる。
6.
世界最大の埋蔵量を誇るサウジアラビアについて、残存埋蔵量と累計生産量が合致する年次、すなわち「ピークオイル」と呼ばれている年次を、IEAのデータから計算してみる。
サウジアラビアが2003年以降、毎年「1,500万バレル/日」の生産を行った場合、埋蔵量の「半分」を使ってしまった時点で、国としても「生産を減少せざるを得なくなる可能性」が拡大していくのが「ピークオイル」時点である。
「2026年」にピークオイルに達する。
もし、減産方向で調整し、毎年「1,000万バレル/日」とした場合はどうなるか。
「2038年」にピークオイルに達する。
これには「12年」の差はあるが、今の予測では「必ずピークオイルは来る」ということである。
7.
今後順調に増産をして生産量を維持できると予測されているのはイラクのみである。
イラクのみが中東で多量の未発見量の存在が推定されている。
ただし、サウジアラビアを上回るほどの石油資源が発見される「可能性はない」という評価がなされている。
8.
これまで考察した結果、2010年まで世界の産油国としての世界における地位は確保できるものの、その後は急激に生産量が減少していく中東産油国が出現する可能性がある。
石油生産量が2020年に向けて急減する可能性が言われているのは、イラン、UAE、クウエイト、オマーン、カタール、イエメンである。
特に、オマーン、イエメンといった国は将来は産油国から、石油輸入国になる可能性がある。
この報告書は主に「中東産油国」にスポットを当てたものであるが、世界的範囲に拡大しても異議の発生するものではないだろう。
アウトラインはこうなる。
『
すなわち、OECDは需要があって「金」さえ払えば、産油国は石油を生産するであろうという、「オイル商品論」の立場にたっての需要供給の単純な経済学で割り切ろうとする。
しかし、産油国はそうは考えていない。
埋蔵量が半分になった時点で自国の「石油の保全」を考える。
「虎の子の石油」を無制限に国外に出すことにブレーキをかけはじめる。
これは誰もが考える、ごく普通の心理・論理だ。
預金が十分あるなら、ばんばん使ってもいい。
だがそれが半分まで減ってきたら、「これはヤバイ」と考えて不思議はない。
少し節制節約をしないといけない、そう考えるのはあたりまえのこと。
これを拡張していくと、「石油は枯渇しない」。
しかし、需要はある。
供給されなければ価格は上がるしかない。
価格が上がれば産油国は少しの生産量でやっていける。
少しの生産量でやっていければ、さらに生産を増やす必要はなくなる。
「石油は決して枯渇しない」。
出なくなった油田も、金をかけ技術を導入すれば隅の方から生産できる。
石油の値段が上がっても売れれば技術導入してもコスト的にペイする。
「石油の枯渇はさらに遠のく」。
大して採掘しないので残された可採埋蔵量は予定より増えることになる。
でも、石油の値段は上がる。
値段が十分上がれば、今度は「非在来型石油資源」の開発も可能になる。
さらに石油はダイヤモンド化する。
「石油はいつまでたっても枯渇しない」
』
報告書の最後にある「まとめ-中東産油国の石油依存と今後の課題」を抜粋しながら見ていこう。
『
確認可採埋蔵量に未発見量を加え、その合計を生産量で割った「生産可能年数」でみるよりも、「ピークオイル」の考え方を採用し、この到来時期に注目して「石油生産最適量」を考えることが必要である。
ピークオイルの時期を迎えたあとには、石油生産量の急減の可能性が存在している。
その可能性が存在する国においては、今から国内のインフラ整備、人材の育成のために資金を効果的に使用し、石油輸出量と輸出額の急減に備える必要が生じる。
中東産油国の一部の国においては、2010年以降には、その経済的基盤が揺らいでくる可能性がある。
産油国は石油収入に依存する体質をすでに経済構造の中に組み込んでいる。
石油関連の輸出額はイランで8割、サウジアラビアで9割、クエイトではさらに比率が高い。
今までの検討内容からみて、2010年までは産油国としての存在価値を維持することができ、世界のエネルギー供給者としての役割を担うことができる。
しかし、「2010年」を過ぎると、この立場から脱落していく諸国が出現せざるをえなくなる。
以上の状況から判断すると中東産油国は「2010年」をメドとして、国内の構造改革を進める必要が生じてくるのは明白である。
残された時間は多くなく、この時期を逃すと、その先は収入の減少するとともに、国内の基盤となる産業が育っていないまま、人材の育成も進まないままに、財政逼迫という事態を迎えざるをえない。
現在得られている石油収入に目を奪われることなく、国作りと国民の能力向上のために、有益な分野への選択的な資金投下をしていくことが必要になってくる。
個々の油田の「生産可能量」の集合として各国の「石油生産上限値」が決まるという「基本的知識」をもったうえで、最適なエネルギー選択についての議論を深化させていく必要が生じている。
』
上記から考えられることは、「2010年対策」に向けて産油国は手段を講じているはずである。
それが、この10年ほどのガソリンの高騰につながっていると見ても、あながち的外れではないだろう。
年明けの1バレル100ドルの史上最高値はその反映であろう。
「石油は埋蔵量の多少で生産量が決まるわけではない」
石油を抱えている大地は技術者の計算機に文句はいわないが、それを掘る組織は人が作り、常に「国家保全」を念頭においている。
石油生産上限値とは自然が決めるわけではない。人間の集合体が決めるものである。
技術的に可採可能であっても、人間の集合がダメといえば、可採されない。
よって「石油は絶対に枯渇しない」。
「2010年対策」を怠った国は、ピラミッドと同様にエネルギーを使いすぎ、未来の砂に埋もれていく。
アメリカが膨大な軍事費を投入してイラクに介入し続けるのも、そこが「最後の石油基地」になるという目算があってのことである。
世界はヒューマニズムでは動かない。
でも「損得」ならだれでも動く。
世界は平和理論では動かない。
「ゼニや」で動く。
ゼニや、というと顔をそむけたくなるが、近代語に直すと「経済」という。
単に言葉を変えただけ、中身は同じ。
それだけで人間の意識が変わる。
心理とはそういうもの。
つい最近までその経済(ゼニや)を生み出す仕組みでアメリカとソ連が争っていた。
いま世界は「ゼニや」を民主主義という名のオブラートに包んで動く。
誰もがそのことを知っている。
そのオブラートの「シワのより方」を論議しながら、中身を漁っている。
サウジアラビアが生産量上限値を低めに抑えても、「2038年」にはピークオイルに到達する。
世界は「2038年対策」に向けて動き出しているはずである。
世界の大きさからいうと琵琶湖などはとるに足りないものであろう。
その18個分しか、石油は採れないということであるかぎり、これから未来に向かって常にドラマはつきまとう。
たった「18個分」の喜悲劇。
仮にそれが倍の「36個」に増えたとしても同じこと。
埋蔵量を計算しているかぎり、いつか枯渇するという不安がつきまとっている。
それは「人類の寿命」と「石油の残量」との比較になる。
どう考えてもこの比較、「石油に分がない」。
そういうモヤモヤとした不安がつきまとう限り、ガソリンの値段は少しづつでも上がり続け、決して下がることはない。
少しづつでも上がり続ければ、枯渇するのではないかという不安が輪をかけて大きくなる。
この循環を断ち切ることはできない。
枯渇の心配をしないでいいものは、「海水と空気」だけ。
21世紀中に安いエネルギーは使いきってしまうということ。
22世紀には安くふんだんに使えるエネルギーは何処にもないということ。
静止人口が9千万人を下回ることになるかもしれないと見られる日本人はどんなエネルギーで日夜を過ごしていくのであろうか。
あと「30年」の間に、世界の姿はガラリと変わる。
人口は増える、石油は高騰する。
もう決して価格が下がることはない。
消費国家の目算では動かなくなる。
生産国家の「国家保全の論理」で動くようになる。
中東の原油生産量が増えることは期待できない。
でなければ、生産国家はピラミッドのように「未来の砂」に沈んでいくしかない。
「石油の保全か、ピラミッドの砂か」、である。
では、どう変わるのだろう。
ここからはSFの世界になる。
まず、リッター5キロの4WDが姿を消しはじめる。
今、普通乗用車はリッター10kmくらいだ。
となれば5キロの4WDは日本ではいらなくなる。
4WDはマニヤの車になる。
雪道はタイヤ仕様でカバーするようになる。
すべての車がリッター20キロの目標を持つようになる。
技術的に対応できないメーカーは市場から消える。
エコカーと軽自動車が全盛になる。
リッター30キロは可能か、エコカーも四苦八苦する。
リッター40キロはどうか、これは無理、ほぼ全滅する。
ガソリンで走る車が消えていく。
乗用車は電気自動車になる。
パワーを必要とするトラック関係は「天然ガスエンジン」に積み変わる。
電気自動車は構造がシンプルなため、方々の分野からの参入がある。
そして「白物」と呼ばれるほどになる。
いまある自動車メーカーのうち、大半が見切りをつけてこの分野から撤退する。
機関車は黒い煙を吐いていた。
昔のことであるが、トンネルに入った。
田園風景に見入っていたその空けた窓から油煙が座席に入り込んできた。
あわてて窓を閉めた。車両内は臭いが私の不注意で充満してしまった。
機関車はデーゼルに変わった。
石炭から石油へ燃料が変わった。
次は電車である。
この車両、「燃料を積んでいない」。
今は「燃料なしで走る車両」が全盛である。
自動車もその歴史をたどるだろう。
昔の家庭には必ず燃料が保管されていた。
薪であり、炭であり、練炭であった。
今の家庭に保管されている燃料といえば、車に積んだガソリンである。
エネルギー変化の軌跡をみれば、自宅に燃料を置くという形は、早晩消えていくだろう。
おそらく、プラグインの電気自動車が普及するだろう。
それにつれてガソリンなるものが、我々の目に見えるところから消えていく。
ガソリンスタンドはなくなり、「天然ガススタンド」がちらほらになる。
石油は何処へいくのか。
これまでのような巨大発電所が様変わりし、産業用、あるいはピーク時の不足に備えるサポート発電所に変わる。
一市一基、一村一基の天然ガス系の小型発電所が生まれはじめる。
効率のいい、かつ大気汚染や温暖化防止対策が最大限とられた人智を傾けた小型発電機が開発され、家庭用はそれでまかなわれ、自家用車のエネルギーになる。
消費国家は「今の生産量でまかなう体制」を作る方向へ向かわざるを得ない。
それが「2038年対策」。
石油から天然ガスへの転換が急速に進む。
天然ガス技術が高度にレベルアップする。
そして、来世紀に向けては、見通しのしっかりした石炭の見直しが始まる。
世界はこれに向けて走っている。
まず、まちがいない。
あと、「30年」である。
「2050年」日本の人口が1億人になったとき、その姿はドラマチックに変わったものになっていることだけは確かである。
「2100年」日本の人口が8千万人、あるいは9千万人になったとき、もし今あなたが40歳だとすると、あなたの曾孫があなたと同じ40歳になったときがその年になります。
そこでは、今の形での石油はないだろう。
しかし、石油は採掘可能な地下に眠っている。
「石油は枯渇していない」。
ただ、湯水のようには可採はしないだけ。
ひ孫たちはエネルギーに何を使っているのだろうか。
なを、2005年版の資源エネルギー庁「エネルギー白書」の「石油」のホームページは下記になります。
★ 資源エネルギー庁 エネルギー白書2005年版 石油
http://www.enecho.meti.go.jp/topics/hakusho/2005/html/17022210.html
<おわり>
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2008年5月2日金曜日
石油枯渇3:2010年対策
石油枯渇3:2010年対策
━━━━━━━━━━━━━
いまから40年数年近く昔は、ガソリンは1リッター「45円」くらいではなかったかと思う。
モペットにガソリンを入れるときの記憶である。
いまは「140円」から「150円」(税法期限切れで130円前後、復活後20円アップという)。
3倍ほど。
高くはない。
価格的にはあまり変動がない。
40年前の大卒の初任給が2万円弱、今では20万円くらいか。
10倍に上がっているとすれば、ガソリンは安定している。
ということは40年前のガソリンとは「ベラボーに高かった」ということになる。
マイカーが運転されるのは週に1,2回ほど。消費ガソリンなどいかほどのものでもない。
車検、登録料、車庫代から比べれば少々上がったところで、微々たるものであり、懐の痛みを感じることはない。
ガソリンが上り、それに伴って航空運賃が上がっても、旅行費用が高くなったと思うだけ。
ガソリンが上がったので海外旅行を取りやめようとは誰も考えない。
180円でも半数の人が車を乗る、と言っているという。
日本では普通人がさほどにガソリン高を肌に感じることはない。
ただ、ガソリンスタンドをよく目にするので、「石油は枯渇するのか」と注意するに過ぎない。
なぜかくもガソリンの値段は安定しているのだろう。
おそらく、石油が政府のコントロール下に置かれているせいだろう。
エネルギーの上昇は経済に大きな影響を及ぼす。
経済それ自体が石油の上に乗っているのがいまの日本。
そのため、政府は監視し、備蓄し、価格が平準化するよう管理している。
それができて政府、できなければ政府とはいえない。
ところが、石油価格をまるでコントロールしていない政府もある。
ここがそうだ。
いまから十年ほど前はリッター50セント(50円)を切っていた。50セントだせばどこでも入れられた。まるで40数年前の日本。
ところがいまは135円から155円を上下している。
いまの日本と大差なし。
日本の40数年が10年でやってきた。
価格は市場任せ。
そのため世界のオイル価格の変動が財布を直撃する。
10セントくらいは日々変わる。
一番安いのは火曜日、それが週末になると間違いなく変動の少ないところで10セント、多いところでは15セントくらい上がる。
道路を挟んで真向かいにあるスタンドで料金が5セント違うのはあたりまえ。
日本なら、前のガソリンスタンドが安ければ、対応するスタンドはそれに近づいた価格をつけるのが常識。
ここではそれがない。
メーカー毎の仕入れ値に素直に順応しているだけ。
間違えて高値でいれて、5セント安の看板をみるとあからさまに憤慨してしまう。
なんと「商売知らず」なのだ、と怒ってみたところで文化の違いではどうにもならない。
毎日行っていたショッピングセンターを3日に1度はやめようか、という話になる。
そのショッピングセンターで30ドル(3千円)買い物すると、ガソリン1リッター当たり4セント(4円)割り引きのチケットをくれる。
さらには、その積み増しで10セント引きができますというカードが出回りはじめている。
いま、この手のサービスはすべてのショッピングセンターで行われており、そのサービスのないショッピングセンターは客足がパタリと途絶える。
チケットあるいはカードを持ってガソリンスタンドへいく。
4セント割引チケットでは30リッター入れても120円しか安くはならない。
でも何か得した気分になるのが、人の心理。
たった10年ほどで3倍から3倍半近く高騰した。
まだまだ上昇するだろうと思われれる。
落ちる気配はまるでない。
ときどきの上下動はあっても長期的には落ちるということは考えられない、と誰もが信じている。
繰り返すことになるが、テレビニュースでは近い将来リッター3ドル(300円)になるだろうと言っている。
ゆっくりであろうと、なかろうと「上り続ける」と皆が考えている。
近くのショッピングセンターまで往復12キロ、日本食料品店だと40キロ、デイスカウント酒屋で30キロ、図書館も30キロ。
何処へ行くのも車。
月に最低で1000キロは走る。300キロ毎にガソリンを入れるとなると、最低で月3回。
ガソリンの高さが身にしみる。年間1万2千キロ。
勤労者は車通勤、それに上乗せされる。2万キロくらいは走る。
日本のように目の飛び出るほどの車庫代はない。
それだけに車両費の中に占めるガソリンの比率が高くなる。
ガソリン価格は市場にまかされている。
世界のオイルの値段にほぼ連動している。
個人的なものであり、産業のエネルギーではないのがここの仕組みである。
基幹エネルギーは石炭と天然ガス。
発電所の大半は石炭。露天掘り。
ブルで地面を掬えばバケットに石炭がたまる。
池島炭鉱のように海の下を掘ることはない。
つまり、エネルギーはただ同然。
大型トラックはオートガス。
すなわち液化ガス。
天然ガスから取り出している。
トラック会社はGMでもなければFORDでもない。
知らない会社、「MAN」と「INTERNATIONAL」のエンブレムをつけている。
石炭も天然ガスも自国の製品。
中東諸国ではないがエネルギー大国。
よって、ガソリンは個人車両専用エネルギー。
あがろうと下がろうと政府の経済政策に大きくかかわることはない。
勝手におやりなさい、である。
政府の管理を離れている。
だから、その動きが見える。
身近で単純にして分かることはこういうこと。
「もし、石油がふんだんに供給されていれば、ガソリンが10年で2倍半も上がりはしない。」
なぜ、かくも値上がりし続けているのか。
そしてこれからも値上がりし続けると感じているのか。
航空ガソリンの値上げはこの国だけのことではない。
なぜに世界的に石油が値上がっているのだろう。
Wikipediaの「LPG自動車」によれば
『
日本のガソリンや軽油の価格は高いとよく言われるが、日本、米国以外の欧州やアジアの非産油国では(為替や自動車燃料政策的なこともあるが)円換算で「ガソリン1リッター:250円」、軽油は「1リッター:200円」程度が一般的であり、現地価格で「70-100円」のLPG(プロパンガス)、「30-50円」のCNG(圧縮天然ガス)に転換する人々が多い最大の原因ともなっている。
』
単純な経済法則からいけば、需要が供給を上回っているからだ。
もしそうだとしたら、なぜ、「石油は枯渇しません」という産油国は増産しないのか。
下記のレポートを見ていこう。
アジア経済研究所の2004年の作成になる。
研究機関の中間派の報告書。
エコノミストのようにジャーナリステイックではない。
こつこつと資料を解析しただけ。
一つのデータを周囲から見ているため、飛躍もないが、「抜けもない」ので安心していられるのが、この手のものの特色。
そのため、これに類するテーマではこの報告書は基礎的資料とされている。
没頭部分を「抜粋」しながらタイプしていきます。
★ 中東産油国の石油埋蔵量評価と生産増大への課題:アジア経済研究所 武石礼司
http://www.ide.go.jp/Japanese/Publish/Mid_e/pdf/2004_01_tateisi.pdf
『
はじめに-本稿のねらい
中東産油国の「石油埋蔵量評価」に関して、埋蔵量(「確認可採埋蔵量」、以下、特に別途記載しない限り本稿中では埋蔵量をこの意味で用いる)が今後も着実に追加されるとの見方と、追加される量は少ないとの見方の、楽観論と悲観論の二つの考え方が出されており、世界を二分する論争が現在進行中である。
本稿では、この埋蔵量に関する議論の内容を検討するとともに、中東諸国のうちでも、サウジアラビアなどの大規模石油生産国ではないオマーンなどの中堅規模以下の産油国においては、悲観論が当てはまる可能性が出てきている点を、オマーンの事例を紹介することで確認してみたい。
続いて、石油生産量と埋蔵量との関係につき検討を加える。
1900年代前半に欧米ロシアなどで発見された巨大油田は、長く生産を続けてきたために生産量の減退期を迎えている油田が多く存在している。
中東においても例外ではなく、イランなどの1900年代前半に発見された油田で長く生産を行ってきたところでは生産量が減少し、油田のリハビリと称される老朽化した油田からの再生産により少しでも残存する石油を生産しようとの試みが続けられている。
埋蔵量に関しては、大型油田の発見が相次ぐことで各国の保有分が増大するが、その後、中小油田の発見が行われても、埋蔵量の増大に与える効果は小さいことを見る。
さらに、OPECと非OPECの諸国を比べると、生産量に対する埋蔵量の比率はOPECの方が明らかに大きい。
しかしこれは、主として民間企業が生産を行う非OPEC諸国では、過大な在庫となる石油埋蔵量を持たないように、OPEC諸国に比べると生産量に対する埋蔵量の比率が小さくなっているに過ぎない。
したがって、将来の追加埋蔵量の多寡により生産量が決まってくる状況は、OPECおよび非OPECとも変わりはないことを確認する。
しかも、石油価格が高めで推移すると、非OPEC諸国からの増産が進みOPECへの「石油生産増の要請は低下」する。
逆に、石油価格が低めで推移すると、非OPEC諸国からの生産増が進まず、「OPECは増産を要請」され、少なくなる石油輸出収入から生産設備の増強を行わざるを得なくなる。
石油価格が高めに推移するかあるいは低めに推移するかが、OPECに対しては低価格での需要増に伴う生産能力増強への要請が生じ、一方、高価格では低生産がもたらされる以上、そもそも低価格での増産、あるいは高価格での生産抑制に耐えられるかという、低価格で生産できる石油埋蔵量を豊富に持つかどうかに依存して、中東産油国は今後生産国として勝ち残れる国と、脱落していく国とが、遅かれ早かれ出現せざるをえなくなるとの予測を提示する。
最後に、中東産油国において産油量の減少がはっきりと現れる諸国が将来的に出現する可能性が高まっていることは、石油依存の経済構造を維持できなくなる中東産油国が現れ、中東の産油国における経済的な二極分化が生じるとの見通しを提示する。
Ⅰ 石油埋蔵量および生産量に関する楽観論と悲観論
Ⅱ 中東の石油埋蔵量
Ⅲ 中東諸国の石油生産状況
1.オマーンの石油生産
2.中東諸国の油田発見
Ⅳ 石油埋蔵量と石油生産量
1.生産の継続と生産量維持の可能性
2.油田生産量の減退
3.油田の発見と生産量の推移
4.油田からの石油生産量の推移
5.油田からの石油生産の傾向
Ⅴ 中東諸国の石油生産量
1.中東諸国の石油生産の特徴
2.悲観論に基づく中東諸国の石油生産予測
3.楽観論に基づく中東諸国の石油生産予測
4.悲観論と楽観論の比較検討
5.埋蔵量の制約から見た生産量予測
Ⅵ まとめ-中東産油国の石油依存と今後の課題
』
内容を「抜き読み」で見ていこう。
「究極可採資源量(埋蔵量)」は下の4つの合計で計算されるという。
A.「累積生産量」:今まで生産された量
B.「確認可採埋蔵量」:現在生産可能として見積もられている量
C.「未発見資源量」:これから発見されるであろうと見込まれる量
D.「埋蔵量成長」:今後の技術的進歩で採掘可能となる増加分
米国地質調査所 キャンベル 石油鉱業連盟
単位:億バレル 2000年 1996年 2002年
---------------------------------------------------------------
究極可採資源量_________33,450_______17,500_______30,075__
---------------------------------------------------------------
累計生産量______________7,170________7,610________8,495__
確認可採埋蔵量__________9,590________8,000________9,084__
未発見資源量____________9,390________1,890________7,788__
埋蔵量成長______________7,300___________--________4,707__
---------------------------------------------------------------
楽観論派(米国地質調査所)、悲観論派(Campbell氏)、中間派(石油鉱業連盟)のデータである。
悲観派は除いて、楽観派と中間派の差は「10%」ほどである。
今回(2007年)の石油鉱業連盟の発表は「3兆0380億バレル」であり、上記データの5年前よりわずかに「1%」増えたに過ぎず、ほぼ同量とみてさしつかえない。
次は世界の石油生産量予測で「単位:万バレル/日」である。
右の石油価格の見通しは「単位:ドル/バレル」である。
________________OPEC____その他____合計__________石油価格見通__
-----------------------------------------------------------------
2001年実績::__3,040____4,660_____7,700万バレル/日______--__
2005年予測::__3,160____4,910_____8,070____________23.27ドル/バレル
2010年予測::__3,610____5,320_____8,930____________23.99__
2015年予測::__4,140____5,710_____9,840____________24.72__
2020年予測::__4,820____5,960____10,780____________25.48__
2025年予測::__5,560____6,270____11,830____________26.57__
IEO2003より :: Energy Information Administration, DOE, US, International Energy Outlook 2003
これによると、2001年から2025年までの生産予測は「50%」アップ、そのうちOPECが「80%」アップになっている。
ところが、石油価格はたった「15%」しか上がらないという。信じられない。
20年でたった5%、ありえることだろうか。
もし、これが本当なら確かに石油枯渇の心配などあるはずがない。
ということは、この10年で2.5倍にも値上がったのは「まぼろし」だったことになる。
このデータというのは大きな間違いがあるのではないか、と疑ってしまう。
往々、素人の解釈間違いということもあるので、断定は控えておく。
2002年の中東主要産油国の一日の生産量は下記のとおりである。
サウジアラビア「738万バレル」、イラン「345万バレル」、イラク「203万バレル」、UAE「199万バレル」、クエイト「160万バレル」である。ちなみに世界全体の産油量は「6,604万バレル」で中東はその「30%」を占めている。これは「International Retroleum Encyclopedia 2003」からの引用としている。
これとは別に、2002年のOECDの「IEA」では別のデータを掲げている。
2000年の数値が異なるようである。算出の方法が違うこともあるので、どちらが正しいともいえない。
出どこが違うと大幅に中身が違ってくるのが世界統計の常識。
つまるところ、統計データというのは大まかな傾向を掴むだけのものであまり信用の置けるものではないのかもしれない。
これは将来の予測も載せている。
カッコ内のパーセンテージは「中東」の占める割合である。
OECD:: IEA:石油需要供給予測
---------------------------------------------
2000年:: 7,500万バレル/日(28%)
2010年:: 8,880万バレル/日(30%)
2020年:: 10,400万バレル/日(36%)
2030年:: 12,000万バレル/日(43%)
この数値は前出の「IEO2003, US, International Energy Outlook 2003」とほぼ同じ。
この報告書、ちょっと読みにくい。
専門家向きということなのだろう。
この分かりにくい内容をどうやって分かりやすくするかが、「電子網さんぽ」の仕事。
いよいよ佳境、「2010年対策」が浮上してくる。
<つづく>
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