2008年5月16日金曜日
ロシアと天燃ガス2:埋蔵量 琵琶湖10個分
ロシアと天燃ガス2:埋蔵量 琵琶湖10個分
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「LPG」は石油あるいは天然ガスの副生品、言い換えると「おまけ」。
石油・天然ガスが金魚なら、LPGは「金魚のフン」。
プーチンに巨億の富をもたらした金魚本体そのものは「天然ガス:LNG」。
天然ガスが身近に使われているのが「都市ガス」、パチンとひねれば天然ガスがシューと出てくる。
さらにもっと身近に天然ガスが存在することを思い知らされたのが、この事故ニュース。
『
★ asahi.com 2007年06月20日01時46分
☆ http://www.asahi.com/special/070619/TKY200706190541.html
東京・渋谷の温泉施設で爆発、3人死亡 天然ガス引火か
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19日午後2時半ごろ、東京都渋谷区松濤(しょうとう)1丁目の温泉施設「渋谷松濤温泉シエスパ」の従業員用施設で爆発が起きた。
建物は全壊し、従業員の女性3人が死亡し、通行人を含む3人が重軽傷を負った。
施設の地下には温泉水を地中からくみ上げる設備がある。
警視庁は、くみ上げの際に混入する天然ガスが充満し、何らかの原因で引火した疑いが強いと判断。
業務上過失致死傷容疑で20日に施設を捜索するなどして爆発の経緯を調べ、管理責任の有無を捜査する。
経済産業省原子力安全・保安院も調査のために現場に職員を派遣した。
捜査1課などの調べだと、爆発が起きた「B棟」は、鉄筋の地上1階、地下1階建てで、地上部分が更衣室と休憩室になっていた。
9階建ての温泉施設(A棟)と道路を挟んで位置していた。
B棟は屋根や壁が吹き飛び、鉄の骨組みを残すだけとなった。
爆風で付近の建物のガラスが割れるなどし東京消防庁が確認しただけで建物28棟、車両12台に被害が出た。
B棟地下には、ポンプで地中約1500メートルからくみ上げた温泉水をためるタンクやくみ上げ装置がある。
「温泉水に混入する天然ガス」を分離」し、排出する設備があるが、排気されなかった疑いがあるという。
設備の保守は、委託されたビル管理の社員が担当。
B棟は毎日午後に点検しており、18日も午後2~3時に点検し、特に異常はなかったという。
温泉水はB棟のタンクから地下のパイプを通ってA棟に回り、ボイラーで温めたうえ館内に供給されているという。
平日の同時間帯には100人ほどの客がいるといい、爆発時もかなりの数の客がいたとみられる。
施設は女性客専用で、昨年1月に開業した。
現場は渋谷の繁華街の一角で、東急百貨店本店などの商業施設や住宅が立ち並ぶ地域。
』
石油探索技術の進歩により、1000--2000mくらいはいとも簡単に掘れる昨今では、東京の至るところで温泉が吹き出してくるといいます。
「深大寺温泉」は味はありませんが薄めた醤油のような色をしており、「武蔵野温泉」は透明ですが海水で塩辛い。
この事故は「渋谷温泉」で発生した事故といえます。
ところで、「温泉水に混入する天然ガス」とは。
『
★ 関東平野南部の地下に埋蔵される天然ガス
☆ http://www.gsj.jp/Gtop/topics/gas/index.html
南関東ガス田の分布
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関東地方南部の平野の地下には約250~40万年前に海底に堆積した「上総(かずさ)層群」と呼ばれる地層が分布しており、この地層の隙間にある地下水(鹹水(かんすい);化石海水)には天然ガスが溶けています。
この地層から「千葉県で生産されている天然ガス」は、日本の天然ガス生産量の「十数%」に当たります。
この「南関東ガス田」に埋蔵されている天然ガスは、国内の天然ガス確認埋蔵量の「9割」を占めるほど膨大なものです。
しかし、天然ガスが比較的浅い地層に含まれているために、天然ガスの採取に伴う大量の地下水の汲み上げが地盤沈下を引き起こす怖れがあります。
そのために、天然ガスの開発は人口密集地域では規制されており、また汲み上げる地下水の量も制限されています。
天然ガスの主成分はメタンで、地層の中で微生物が作り出したことが(独)産業技術総合研究所地質調査総合センターなどの研究によって明らかになっています。
都内にある温泉施設では、地下1000~2000m程度の深さから地下水を汲み上げており、メタンは地下の高い圧力によって水に溶けています。
しかし、メタンは大気圧ではほとんど水に溶けないので、水が地上に汲み上げられると自然に水からメタンガスが分離することになります。
※.なお、このWebサイトは関東平野南部の天然ガスについて解説したもので、今回のガス爆発事故の原因を特定したものではありません。
』
上記のグラフを見ると東京山の手線内から千葉県北部、つまり千葉市を中心に半径30Kmほどの真下にガス田があり、それが日本の天然ガス確認埋蔵量の「90%」を占める「南関東ガス田」だということなのです。
「ガス田」とはなにか。
「可燃性天燃ガスを産出する地域」のことである。
つまり、東京中心部ならびに千葉県北部は自然エネルギー源の上に乗っかっている地域だということになります。
Wikipediaによると南関東ガス田の埋蔵量は「3,750億m3」あると推定されているという。
日本でも天然ガスが採れるのです。
石炭のほかに、エネルギーがあるのです。でも、わずか。
やはり、日本はエネルギーで苦しむ国のようです。
でもその苦悩が日本人の勤勉さを支えている。
その「天然ガス」とは何かを見てみます。
主成分は「メタン」で比重は空気よりも軽い。
プロパンガスは重たいこれは軽い、そこがプロパンガスと大きく異なる点である。
__比重(空気=1.00)______製 品
-----------------------------------------------------------
メタン_____0.64 天然ガス(都市ガス)
プロパン___1.52 プロパンガス(家庭用プロパン)
ブタン_____2.00 プロパンガス(低圧:使捨てライターなど)
ガソリン____2.95 ガソリン
プロパンは常温で気体、よって圧力で液化させる。
そのため、あの分厚い鉄製のLPGボンベが必要となる。
ところがこれ「-162度」で液体化する。
そしてそのまま常温で「液体」である。
気化すると空気より軽い。
ウソだろうと思えるような、なにかとってつけたような「ウマイ性質」。
液化すればタンカーに積んで搬送できる。
空気より軽いのですから、ガスのままならちょっと圧力をかけてパイプラインに押し込んでやれば、いとも簡単に「送気」できる。
どちらも可能。この性質によって、石油とならぶエネルギー王者になる。
この液化した天然ガスを「液化天然ガス:LNG」という。
さらに天然ガスがLNGになると体積は「1/600」となり、大量輸送が可能になる。
下記のホームページが分かりやすいので、目次をあげておきます。
『
★ 財団法人 天然ガス導入促進センター
「明日をひらくクリーンエネルギー天然ガス」についての情報サイトTOPページ.
☆ http://www.naturalgas.jp/
天然ガスの基礎知識:天然ガスはどのようにできるの?
* 天然ガスとは
* 天然ガスができるまで
* 天然ガスの特徴
* LNGとは
クリーンエネルギー天然ガス:天然ガスは環境に優しいクリーンエネルギー
* 地球温暖化とは
* 地球にやさしいエネルギー
供給安定性にすぐれた天然ガス:世界・日本の天然ガス事情はどうなっているの?
* 天然ガスが届くまで
* 天然ガスの地域分布
* 天然ガスの埋蔵量
* 天然ガスの生産量と消費量
* 天然ガスの輸出量と輸入量
* 日本のLNG(液化天然ガス)輸入状況
* 日本のLNG(液化天然ガス)プロジェクト
* 世界のLNG液化基地・日本のLNG受入基地
* 天然ガス導入事業者数の推移、熱量変更
天然ガスの利用例 :~天然ガス自動車・燃料電池など~
* 天然ガスの利用状況
* 家庭での利用
* 業務用の利用
* 熱・電気利用
* ガス冷房
* 燃料電池
* 天然ガス自動車
天然ガスの未来 天然ガスの需要はこれからどのようになっていくの?
* エネルギー供給の柱のひとつである天然ガス
* 日本のエネルギー政策
* 新たな資源の研究開発
』
いったい世界に、どれほどの天燃ガスがあるかが、もっとも興味のあるところ。
Wikipediaによると「BP統計2005年版」では世界の確認可採埋蔵量は「約180兆立方メートル」、可採年数は「66.7年」という。
上記の財団法人天然ガス導入促進センターの「天然ガスの埋蔵量」では2005年で「160兆m3」、可採年数は「63年」という。ただし、データの埋蔵量の合計では「174兆m3」になるので「160兆m3」は間違いであろう。
社団法人日本ガス協会では2003年12月で「176兆m3」、「67年」であり、これは「BP統計2004年版」である。 また、東京ガスのホームページによれば「171兆m3」、「64年」とあり、それぞれで異なっている。
『
★ 東京ガス : なるほど!天然ガス
☆ http://www.tokyo-gas.co.jp/Annai/naturalgas/tennen/top01.html
2005年現在、約171兆m3と豊富な埋蔵量が確認されており、可採年数(確認埋蔵量を消費量で割った残存年数)は、石油の約49年に対して約64年におよびます。
その上、現在でも新しいガス田が次々と発見され、埋蔵量は今後もさらに増大すると予測されています。
』
統計調査とはある傾向を計るもので、ピッタリ合うものではないから上の4つから類推すると、確認埋蔵量は「170兆m3---180兆m3」、可採年数は「65年前後」ということになります。
「可採年数」とは上記ホームページより「確認埋蔵量を消費量で割った残存年数」ということになります。
その地域的割合は下記のようになります。
______地域___________________%___「BP統計2004年版」より
-----------------------------------------------------------
中東_______________________40.8__
ロシア______________________26.7__
ヨーロッパ・ユーラシア ____________8.7__ (ロシアを除く)
アフリカ _____________________7.8__
アジア・オセアニア_______________7.7__
北米 _______________________4.2__
中南米______________________4.1__
ところが、ここで困ったことは「兆m3」ではあまりに大きすぎて、専門家でもない限りいったいこの数字、どれほどのものかがさっぱりイメージできない。
それを手元に引き寄せるのが「電子網さんぽ」の役目。
分かっていることが一つある。
天然ガスを液化すると「液化天然ガス:LNG」になる、このとき体積は「1/600」になるという。
確認埋蔵量を平均値「170兆m3」として計算してみる。
世界埋蔵LNG量=170,000,000,000,000/600=170兆0000億/600=2,833億m3
さらに「石油枯渇1」で使った式を利用する。
日本最大の湖、琵琶湖、最深103m、平均水深41m、貯水量は「27.5Km3」。
「1Km3」とは1立方キロメートル。
立方メートルに直すと「1000m×1000m×1000m=1,000,000,000m3=10億m3」。
ということは琵琶湖の貯水量は「275億m3:275億トン」。
LNGと水では比重が異なりますので、体積で比較してみる。
2,833億m3/275億m3=10.3個
「琵琶湖:10.3個分」のLNGが採取可能の埋蔵量(確認埋蔵量)としてあるということになる。
「石油枯渇1」では石油の可採資源量を「17.6個分」と算出したが、これは確認埋蔵量に未発見資源量などを加算したものであった。
10.3個という数字はこれとは違い、現在の確認埋蔵量についてのみである。「未来分は算入していない」。
「電子網ふらり」の特別単位「ドーム」で計算してみよう。
東京ドームの体積は「1,240,000m3」。
2833億0000万m3/124万m3=228,468ドーム
東京ドーム「23万個分」になります。
計算手順:
1.天然ガス体積「***兆m3」を「1/600」して、LNG体積「****億m3」を求める。
2.それを東京ドーム体積「124万m3」で割って「***,***ドーム」を求める。
【注】:素人の電卓計算なので間違いがあるかもしれませんので確認してください。
ちなみに、南関東ガス田を計算してみる。
天然ガス埋蔵量「3,750億m3」をLNG体積に変換する。
3,750億m3/600=6億2500万m3
ドーム単位に変換する。
6億2500万m3/124万m3=504ドーム
すなわち、南関東ガス田は東京ドーム「約500個分」のLNGを有していることになる。
もう一つ基本資料を作ってみましょう。
というのは、天然ガスは「m3」単位で計算されるが、LNGは「ton」で計算される。
例えば、埋蔵量は「立方メートル」であるが、LNGはタンカーで運ばれてくるため「トン」になる。
この互換式が必要になるが、ウエブを検索してみても、よく分からない。
そこで自家製で簡単に作ってみることにする。
財団法人天然ガス導入促進センターの「天然ガスの輸出量と輸入量」と「日本のLNG(液化天然ガス)輸入状況」の2つを使って計算する。
このデータによると日本の天然ガスの輸入量は「765億m3」、LNG輸入量は「5781万トン」。
なを、東京ガスホームページデータではLNG輸入量は「5802万トン」とあり、少々ですが違いがありますが、誤差の範囲であり、ここでは促進センターのデータを参照しておきます。
まず、天然ガスを1/600して、LNG体積を求める。
765億0000万m3/600=1億2750万m3
単純計算では、この「1億2750万m3」が「5781万トン」ということになる。
12750/5781=2.2
つまり、「2.2m3=1ton」が「LNG交換比」になる。
ということは、日本は年間「102ドーム」の天然ガスを輸入していることになる。
1億2750万m3/124万m3=102個
なを、南関東ガス田には日本の輸入量の「4.9年分」の埋蔵量があるということになります。
3,750億m3/765億m3=4.9
また、先のプロパンガスは国内需要量が「1800---1900万トン」ですので、LNGの「5800万トン」はLPGより「3倍多い」ということになります。
なを、この両者は比重が違うため、トン数では体積換算でのドーム単位の比較はできません。
日本の一次エネルギーにおける天然ガスの構成比は2005年には「14%」です。
主な用途としては、その「70%」が火力発電用、「30%」が都市ガス用として使われている。
日本にあっては主に「発電用」という縁の下の力持ち、裏方パワーのため、あまり馴染みがないのも事実です。
輸入先はインドネジアとマレーシアがそれぞれ約1/4づつ、オーストラリアが18%、10%前後でカタール、ブルネイ、アラブ首長国連邦となる。
その特徴は石油・LPGは中東産油国からのものでしたが、それとは違って輸入の過半がアジアから供給されているということにある。
日本の場合は島国という事情からパイプラインではなく、「LNGタンカー」で運送される。
そのため、LNGのコストはパイプラインより高くなっています。
LPG、LNGは日本では「ガス体エネルギー」として分類されており、そのアウトラインは「2005年版 資源エネルギー庁 エネルギー白書」で見ることができます。
★ 資源エネルギー庁 エネルギー白書2005年版 ガス体エネルギー
☆ http://www.enecho.meti.go.jp/topics/hakusho/2005/html/17022240.html
<つづく>
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