2008年10月10日金曜日
文化発信大国日本5:新たなサムライたち
● 和太鼓 TAO:技とスピード:新たなサムライたち
文化発信大国日本5:新たなサムライたち
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「和太鼓 TAO」を観てきました。
一昨年に続いて2度目の公演。
相変わらずにすばらしい。
人数もふえ、パフォーマンスは一段とさえてきた。
観客総立ち。
拍手なりやまず。
大きな劇場を作っても、それを満杯にできる演劇集団は少ない。
ものがデカイだけに、ランニングコストはバカにならない。
よって、赤字経営が蔓延しているのが、昨今の実情。
公共団体なら税金をつぎ込んでなんとか維持している。
何しろ、自前のステージを持つということは、自治体の独立性の問題がからんでくるほどの大事である。
TAOは、その赤字劇場に「チケット売り切れ」という、天から降ってきたか地から沸いたかしらないが、とてつもない朗報をもたらしてくれる集団。
クラシックなら老人専用、ポップスなら若者向き。
こちらの国ではポップスを聴きに、若者が劇場に足を運ぶことはない。
となれば、劇場とは老人の知的満足を満たすところに過ぎなくなる。
それだけでは劇場を埋め尽くすことはできない。
まして、チケット売れ切れなどというのはとてもとても。
小学校の児童から、七十のジイサンバアサンまで、あらゆる層から観客を動員できるのが、TAO。
決して安くはない、高いといっても間違いにはならないチケット値段。
そう、小学校の児童が、親に連れられて大挙して、このバカ高いチケットを片手にやってくるのである。
日本のように一人っ子ということはない。
こちらはベビーブーム。
ショッピングセンターにいけば、バギーの列。
学校が足りずに、毎年小学校が開校しているほど。
それでも間に合わない。
3人の子どもは当たり前。
とすれば親子で5人。
チケットの合計は。
劇場側からみれば、曰く「福の神」
『
★ 25today TAO 和太鼓エンターテイメント集団 2008年6月
http://top.25today.com/topics/news/qld_0806/01.php
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繊細なリズムとスピード感のあるパフォーマンスが世界中で喝采を浴びている。
ステージは、男女混成のメンバーが、全長1.4メートルの大太鼓などを、精神と体力の限界まで打ち抜く姿が感動を呼んでいる。
同集団は1993年に九州で結成され、その7年半後に、日本国内で100万枚のチケット・セールスを達成した。
第50回紅白歌合戦に出場するなど、日本国内で活躍の場を広げ、
2004年、イギリスのエディンバラで海外初公演を果たしている。
以来、フランス、ドイツ、スペイン、アメリカと、世界各国で公演をこなし、2006年度は世界5カ国で20万人、日本国内で10万人の計30万人を動員。
昨年の全豪ツアーでも、チケットが完売する盛況ぶりを見せた。
伝統芸能という枠にとらわれず、常に「斬新で新しい演奏」を披露し続けるTAO。
技術のみならず、「ストーリー性のある曲作り」、打ち手のキャラクター作り、工夫を凝らした舞台装置や照明など、「こだわりのあるステージ作り」にも定評がある。
日本人としての誇りと、大自然や世界中の音楽・ドラミングから得るインスピレーションを織り込んだ、彼ら独自のパフォーマンスは、正に“国境を越えたエンターテイメント”だ。
』
この中に2006年度は「海外20万人」「日本国内10万人」の計30万人とある。
海外の方が日本より倍も多いのである。
それも20万人といえば、ハンパな数ではない。
この意味するところは。
「若者は世界をめざす」
「ポップカルチャーとは世界と出会って大衆化する文化」
あの強い強いと言われるケニヤのマラソン・ランナーでオリンピックに名を残したのは二人しかいない。
コニカのワイナイナが準優勝と3位、そして8位入賞。
3回走って3回とも入賞、彼はオリンピックで入賞を外したことはない。
最初のときは何と、補欠メンバーであった。
北京オリンピックでワンジルがケニヤ選手としてはじめて優勝の栄冠に輝く。
仙台育英からトヨタへ。
どちらも日本で育った。
強いケニヤ勢だが、オリンピックで入賞したのは日本育ちだけである。
ワンジルは言った「日本でガマンを学んだ」と。
ガマンとはこだわりである、ノメリコミである、凝り性ともいう。
日本選手は弱いが、育てあげる力は日本にはある。
若者は世界と出会って、はじめて自覚する。
CDの売り上げからいくと、世界で500万人以上がTAOを聞いている、ということになるという。
DVDのカバーより。
『
★ 世界250万人の魂を振るわせたTAOのパフォーマンスが蘇る。
「超絶的に鍛え抜かれた身体」が、バチを手に激しくも美しく乱舞する。
彼らに命を吹き込まれて、和太鼓は時に深く響き合い、時にビートの奔流となって、聴く者の心を押し流す。
その圧倒的なステージ・パフォーマンスで世界の観衆を魅了し続けるTAO。
世界の舞台へデビューして3年。
海外の至る所で賞賛の嵐を浴びてきたその舞台の魅力を余すところなく映像化した。
2007年ワールドツアーの熱狂を伝える最新LIVE映像とともに、本DVDのために行われた特設ステージのパフォーマンスで新旧の名曲の数々を収録。
進境著しいTAOの"今"のすべてが、この1枚に凝縮されている。
』
「超絶的に鍛え抜かれた身体」
超絶とはちょっとオーバーな表現、と思われるかもしれませんが、いやいやとんでもないこと。
一度でも舞台をみれば即座に納得できるスゴさ。
「いったい、あれで体が持つのだろうか」という疑問にさいなまれてしまうほど。
「若きサムライたち」、そこまで鍛えられた者に許された演技。
刀を置いたサムライは、「花など手にしていなかった」。
叩きつけるバチを握っていた。
肉体を「のめり込みのイメージ」で作り上げていた。
免許皆伝。
最奥義は「竜のひらめき」か。
舞台を見れば分かる、手にする「バチはひらめいている」のだ。
真実の吐露としてもおかしくないほどの鍛えられたサムライたち。
女性もいるが、サムライで通る。
● 和太鼓 TAO:極限体力のパワー
<クリックすると大きくなります>
「TAOとはなんぞや」という方はこちらのビデオを。
『
★ TAO IN CIUDAD REAL (SPAIN)
http://jp.youtube.com/watch?v=x6GsD8EsArM&feature=related
★ TAO JAPAN DRUMMERS
http://jp.youtube.com/watch?v=iy15ZaCklQc&feature=related
http://jp.youtube.com/watch?v=76YJGTIAxXw&feature=related
』
これはサワリ。
生でみる迫力は想像を絶する。
DVDでも生ほどではないが、十分。
「大祭」はテレビに向かって拍手をしてしまうほど。
「竜のひらめき」かも、と納得してもいい。
DVDのパンフレットから。
『
1993年に結成したTAOは1995年に九州・大分県久住町に本拠地を据え、本格的な創作・公演活動を始動。
十年足らずの間に地元九州で百万人を越える観客を動員。
2004年、イギリスで毎年開催される世界的な音楽・芸能の祭典「エデインバラ・フリンジ・フェステイバル」で世界デビュー。
1カ月の公演は大成功を収め、世界から大きく注目を浴びた。
翌、2005年からは本格的な「世界ツアー」がスタート。
ヨーロッパ各国、ニュージーランド、オセアニア、北アメリカ、アジアなどを巡り、全世界での観客動員数は「累計250万人」を超えた。
2010年には、いよいよ設立当初から目標としてきたエンターテイメントの聖地・アメリカでの「長期公演」に臨む。
』
下記はTAOのホームページです。
『
★ TAO
http://www.drum-tao.com/
』
もう一度、パンフレットから。
『
TAOは日本に数ある和太鼓グループにおいて、異彩を放つ存在だ。
最も古い伝統楽器として日本文化の中心におかれ、古来の流儀に守られてきた和太鼓。
彼らはその楽器に取り組みながら、奏法、楽曲、舞台製作‥‥
そのすべてにおいて「伝統にとらわれない」独自のアプローチを続けてきた。
彼らが追い求めるのはただ一つ。
和太鼓の持つ楽器としての可能性、シンプルであるがゆえに深く人の魂の底にまでその響きを届けられる「力を引き出すこと」。
そして彼らは、その挑戦から新しい音楽を創造し、和太鼓を日本の「伝統文化という文脈から解き放って」、世界に通用するエンターテイメントと昇華させた。
』
何が世界に受けるのか。
何をもって「クール」と言わしめるのか。
何をもって万人を熱狂せしめるのか。
和太鼓を日本の伝統文化という文脈から「解き放った」こと、そのことがクールを呼び込んだということになってくるのだが。
TAOはその一つの姿を提示してくれています。
パンフレットを続けます。
『
2004年に念願だった世界の舞台へのデビューを果たした彼らは、現在「年間の半分以上」を海外ツアーに費やし、そのダイナミックなステージはいたる国々で多くの人々に感動を呼び起こし、賞賛を浴びてきた。
「国境も文化の壁も軽々と越える」和太鼓の響きを共通の言葉として、世界中の人々の心に響きあう魂の共鳴を生み出しながら、彼らはその活躍の場をますます広げ続けている。
』
「文化を発信する」とは、国境を軽々と越えるもの、固有の文化を軽々と越えるもの。
それがクール・ジャパンの本質なのかもしれないが。
「日本らしさを」前面に押し出していくジャパネスク・モダンとどうかかわりあうのか。
2匹の竜がどの様にぶつかり、どうからみあうのか。
その葛藤のなかから、新しい発信力が生まれるのであろうか。
それとも、共食いでジリ貧に陥ってしまうのか。
見えない未来の面白さである。
なを、このジャンルではすさまじいほどのサムライたちがうごめいています。
その一つを。
『
★ ユーチューブ的気まま音楽集~ユーチューブファン必見~: 和太鼓 2008年09月24日
http://sonngs.seesaa.net/category/5662177-1.html
野和太鼓「昇舞」
すごい迫力です。
他の和太鼓集団と比べて、相当完成度が高いように思いました。
ユーチューブ(YouTube)で、「和太鼓集団 TAO 2008 双飛」を探していたのですが、規約違反で削除されていたのでこの作品を載せました。
』
ちなみに、この作品をビデオに撮ったのは、クレパス信ちゃん家族のようです。
ところで、「ハテナ」記事があったので、一部を抜粋します。
『
★ 文化庁メデイア芸術プラザ Beyond the Art Vol.1
クール・ジャパンはクールではない
http://plaza.bunka.go.jp/museum/beyond/vol1/
─────────────────────────────────
そもそも、日本ではあまり語られないが、「クール・ジャパン」という言葉自体が、1990年代のイギリスで展開された「クール・ブリタニア」のまね、というかパクリなのである。
クール・ブリタニアは一定の内実を伴った政策だったが、クール・ジャパンはその足下にも及ばない。
日本から新たな価値の発信を、などと言っても、その中核のキャッチフレーズが物まねではどうしようもない。
確かに、日本のポップカルチャーは高い競争力をもっている。
しかし、その力は別に2000年代に強くなったわけではない。
むしろいまや、日本起源の感性があまりに拡がったため、コンテンツ産業の一部はすでに衰え始めているようにも見える。
もし、いまの日本にクールな部分があるとすれば、それは、「クール・ジャパン」などという言葉に踊らされている人々には、決して見えない場所に潜んでいることだろう。
』
残念ながら、私は日本の情報を十分受け取れる場所にいないのでよく分からないのだが、クール・ジャパンは「パクリ」だというと、それをパクッた主体が存在したことになる。
「ジャパネスク」なら、お役所がやっていることであるから、一定の内実を伴った政策であることは当然である。
だから、ひじょうにわかりやすい。
出処がはっきりしている。
でもクール・ジャパンというのは、日本の文化が勝手に海外で受け入れられて、その現象に何か名前をつけようとしたとき、ちょうど海外のメデイアに「クール・ジャパン」という名称が載ったので、それはいいとその名前をパクッたのではないだろうか。
それともその名で運動をおしすすめた「クール・ジャパン協会」といったような組織があるのだろうか。
調べ方が悪いのかもしれませんがインターネットにはないようなのですが。
ちなみに、私は「自然発生的現象」であると思ってクールジャパンを書いてきました。
もし、自然発生的だとすると上の論理はまるで成立しないことになってしまうのだが。
自然発生的なら「新たな価値の発信」であろうと、あるいは「コンテンツ産業の一部はすでに衰え始め」てきたとしても、別にどうということでもないのではないだろうか。
その現象が受け入れられなくなったら、それだけのことではないのだろうか。
自然的に盛り上がったのだから、ウエーブが過ぎたら沈静化するだけのことである。
いっときのはやりであり、いつか下火になるのは見えている。
強いてそれを下支えすることでもあるまい。
自然発生的現象とはそういうものだろう。
「政策論理」を立ててやっているわけではないのだから、「メクジラたてる」ことでもない。
ごくごく普通のことである。
もし、私が理解しているように主体組織が存在していないとするなら、どうも大幅にピントがずれているように思えるのだが。
官製文化でないポップカルチャーなるものが流行ってしまい、海外を「お役所エリア」と思っていたのに、なんとも「ケシカラン」といった当局の嫌悪感の表れのようなものが感じられます。
ちょっとクールな「遊び心」で。
『クール・ジャパン、さてその正体は』
とくれば、「七つの顔を持つ男:多羅尾伴内」となるのだが。
[リサーチャー・リサ子]さんがお届けします。
『
★ 日経トレンデイネット 2008年10月07日
リサーチャー・リサ子の解明!COOL JAPAN――クールジャパンって何?
大奥の衣装からゴマの成分まで、依頼があれば何でも調べる!
それがテレビ番組リサーチャー。
そんな世界で働くリサ子が「クールジャパン」の正体を探ります。
【第1回】
クールジャパンの「正体」を求めて、擬似・海外取材はじまる!
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クールジャパンを探りに海外取材実現!?
小生テレビ界のすみっこにて、「調べもの」で世過ぎをしているリサーチャーでございます。
やれクレオパトラの衣装だの、ケネディ暗殺の謎だの、ガラパゴスのイグアナの生態だの
……これまであまたの物件を調べて参りました。
調べたことは、番組が終わると同時に忘れ去っていくのが習いですが、それでも脳の片すみに知識の断片が残っています。
無駄に。
かなしく。
スコットランドのウイスキー工場では猫を飼っていることも、紹興酒のふるさとでは娘の誕生時に仕込んだ酒を嫁ぐ日に持たせることも知りました。
……図書館で。
レアルマドリード対バルセロナの試合の熱気、モンゴルの夕日の雄大さ、西アフリカの太鼓の音
……知っていますとも!話に聞いて。
うえーん(泣)。
あたしったら単なる「耳年増」。
海外に行きたいよ~。
リサーチャーに海外取材権を!
せめて海外旅行休暇を!
燃料サーチャージ値上げ反対!
今回そんな私に、「クールジャパンを解明せよ」との命がくだりました。
『日経エンタテインメント!』のO編集長は言いました。
「世界中を旅して、日本のどこがクールなのか聞いてきて」。
ウソです。
そんな夢のようなことはひとことも言いませんでした。
予算がそれを許しません。
いいえ、それより何より、私の語学力がそれを許さない(とほほ)。
クールジャパンを探りに海外取材実現!?
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実際のところ、ある日、O編集長が「クールジャパン、クールジャパンってみんなよく言うんだけど、実はなんのことだかよくわかっていない人も多いと思うんだよねえ」と話しかけてきたのがすべての発端。
「ええ、まさに私もよくわかってないひとりです」
「じゃ、クールジャパンって切り口で、いつもみたいに軽~く調べてみて」
つまり、大宅壮一文庫と国立国会図書館と八重洲ブックセンターへ。
パスモで移動可能な「せま~い範囲」を地味~に巡って、おもしろい話を探してきてちょ、という発注でした。
どうせそんなもんです、リサーチャーの仕事なんて。
求められるのはダイナミックさではなく、「小回り」。
世界を股にかけた取材ができる日は、
遠い……。
なんて思いつつ、クールジャパンの正体をさぐることになりました。
クールジャパンの語源や流行の経緯はおいおい調べていくとして、とりあえず、
「外国人が“クール!”と叫ぶもの」
というたいへん大雑把な定義でネタ候補をリストアップ。
アニメ、ゲーム、村上隆…
ええと、ええと、あと何があったっけ?
そこで書を捨てて街へ出ると…
回転寿司、カプセルホテル、セーラー服、ボンカレー、グリコのおまけに缶コーヒー。
なんだか日本発祥のクールなものっていろいろありそう。
そのとき、ハタと気が付きました。
「おぉ、そうか!外国人の気持ちになってウロウロすればいいんだ!」
「気分だけ海外取材」でニッポン全国を回るぞ!
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外国人目線になって眺めたとき、見飽きたはずの東京がクールでエキサイティングなシティに見えてくる!(←これじゃ、外国人じゃなくてルー大柴です)
今回わたくし、日本にいながら「海外取材」気分を味わってみようと思います。
幸い、言葉のウォールはナッシング。
外国人目線になって、どかどか突撃し、じゃかじゃか質問してみる。
そしたらクールジャパンのしっぽがつかめるかも!?
というわけで、心の奥底に「いつかほんとの海外取材」という野望を燃やしつつ、とりあえず「気分だけ海外取材」でニッポン全国をすみずみまで巡ってみたいと思います。
…え?
パスモの範囲だけでいい?
いや、ま、そうおっしゃらずに。
こんな調子でクールジャパンの実像に迫れるのか、どうか。
どうぞ、気楽におつきあいくださいませ。
』
<つづく>
【Top Page】
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